「マンスリーマンション」とは、出張や単身赴任、長期旅行など一時的な仮住居が必要な、場合に利用される短期賃貸物件のことをいいます。
数日間であればホテル住まいも悪くありませんが、1ヶ月単位の滞在であればホテルでは室内が狭いため、息苦しさを感じるかもしれません。
そこへ行くと、マンスリーマンションは一般賃貸物件を転用しているため居住性は高そうです。
今回は、マンスリーマンションとホテル・民泊との違い、マンスリーマンションの主な利用者や利用方法、マンスリーマンションのメリット・デメリットなどについてまとめました。
マンスリーマンションを利用する機会が現れた時には、ぜひこの記事を参考にして適切なマンスリーマンションを選んでください!
目次
1.マンスリーマンションとは?
1.1マンスリーマンションってどんなもの?
「マンスリーマンション」や「ウィークリーマンション」という呼び方は、法律で明確に定義されているわけではなく、その契約期間や滞在日数、サービス形態などからネーミングされた呼称です。
<各業態の滞在日数による切り分け>
上の図の通り、マンスリーマンションはホテル・旅館、ゲストハウスなどの旅館業と一般的な不動産賃貸業の中間に位置しています。
ホテルや旅館などは「宿泊」が目的であるため、契約は日数単位となり、一般賃貸は「居住」を目的としているために2年単位の契約となります。
それに対して、マンスリーマンションは日数単位から週単位、月単位、年単位など利用者のニーズによって必要な期間だけ利用することができます。
室内には家具・家電・備品類が備え付けられているため、手荷物ひとつで来てもすぐに快適な生活を送ることができるようになっています。
<マンスリーマンションの主な設備・家具・家電・備品類一覧>
上の一覧表は、主なマンスリーマンションに設置されている設備・家具・家電・備品類の一覧ですが、事業者によって異なる場合もありますので、事前によく確認しましょう。
<マンスリーマンションの主なセッティング事例>
なお、ウィークリーマンションはマンスリーマンションと同様に、家具・家電・備品類が設置された形態で運営されています。
厚生労働省による「旅館業法運用上の疑義について( 昭和63年01月29日衛指第23号)」という通達によると、「ウィークリーマンションは旅館業法の対象施設とすることが相当」ということになっていますが、旅館業として運営されている物件と賃貸業として運営されている物件のどちらも存在しているのが現状です。
ウィークリーマンションとマンスリーマンションの違いは、契約期間が1週間以上1ヶ月未満の場合はウィークリーマンション、1ヶ月以上の場合をマンスリーマンションとしている点です。
1.2.マンスリーマンションに関する法律とは?
マンスリーマンションやウィークリーマンションを運営する場合には、大きく分けて下記の2つの運営方法があります。
- 不動産賃貸業として、賃貸借契約を締結してサービスを提供する
- 旅館業として、利用者を宿泊させサービスを提供する
それぞれの運営方法に関して、法律上の成約にどのようなものがあるのか見ていきましょう。
1.2.1不動産賃貸業として運営する場合の法律上の制約
マンスリーマンションを国土交通省が所管する不動産賃貸業として運営する場合、借地借家法に基づいて賃貸借契約書を締結します。
その他、マンションの管理規約、使用細則に定められていることを守れば問題ありません。
この場合、締結する賃貸借契約は一般賃貸の場合の「普通賃貸借契約」ではなく、「定期建物賃貸借契約」となりますので注意が必要です。
「普通賃貸借契約」は、契約期間が1年以上であることが原則です。
もし、契約期間が1年未満の普通賃貸借契約を締結すれば、その契約は「期間の定めのない賃貸借契約」となってしまうためです。
「期間の定めのない賃貸借契約」の場合、入居者および貸主はいつでも解約の申入れをすることができますが、貸主から解約の申し入れをした場合において、建物の賃貸借は解約の申入れの日から6ヶ月間経過した時に賃貸借契約が終了します。
そのうえ、解約の申入れの要件として貸主に「正当事由」があることが必要となり、これらは、借地借家法第27条および第28条に規定されています。
(解約による建物賃貸借の終了)
第二十七条 建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から六月を経過することによって終了する。
2 前条第二項及び第三項の規定は、建物の賃貸借が解約の申入れによって終了した場合に準用する。
(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
第二十八条 建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
引用元:総務省行政管理局運営 e-Gov 電子政府の総合窓口 より
つまり、「期間の定めのない契約」となった場合には、入居者がいつまでも退去せずに居座ることが可能となるため、貸主にとって大変なリスクとなってしまうのです。
1年以上の賃貸借契約のみを締結していれば問題はありませんが、実際のマンスリーマンション利用者はもっと短期間の入居を望んでいる場合がほとんどであるため、貸主にとって大きな機会損失となってしまいます。
一方、「定期建物賃貸借契約」の場合は、契約期間を1年未満とすることができ、かつ契約の更新をしない旨の特約をすることもできるため、貸主にとって入居者が立ち退かないというスクがなくなります。
そのため、マンスリーマンションにおいては、「定期建物賃貸借契約」を締結することが一般的です。
ただし、「定期建物賃貸借契約」を締結するためには、貸主はあらかじめその旨を書面にて入居者に説明しなければならず、契約は必ず書面で行わなければなりません。
1.2.2旅館業として運営する場合の法律上の制約
契約期間を1週間以上1ヶ月未満として運営する場合は、原則として旅館業の営業許可が必要となり、各自治体の許可を受けなければなりません。
旅館業の許可が必要か否かは、以下のポイントについて判断されます。
・衛生面の維持管理責任
室内清掃や寝具類の交換などの衛生面の維持管理責任が営業者にある場合、旅館業の許可を取得しなければなりません。
一般的に、ウィークリーマンションでは利用期間中の室内清掃などの維持管理は、すべて利用者が行います。
シーツや枕カバーなどのリネン類の取り替えも、利用者が洗濯機を使って行います。
そのため衛生面の維持管理責任は利用者にありそうですが、旅館業を所管する厚生労働省の見解では、「最終的な維持管理責任は営業者にある」という判断が下されています。
・生活の本拠があるか否か
利用者の生活の本拠がウィークリーマンションにあれば、「宿泊」ではなく「居住」と判断され、不動産賃貸業に該当するため旅館業法は適用されません。
しかし、厚生労働省の見解では、「1ヶ月未満の短期契約であれば、生活の本拠はウィークリーマンションにはない」という判断が下されています。
家具・家電などが事前に設置されていることも、生活の本拠ではないということを後押ししています。
これらの厚生労働省の見解は、昭和63年1月29日に「旅館業法運用上の疑義について」という通達により発表されています。
上記のポイントから、ウィークリーマンションとして運営する場合には、旅館業の許可が必要となる可能性が高いと考えられますが、自治体によっても判断が異なるため事前に各自治体の担当部署(保健所など)に相談するとよいでしょう。
<旅館業法運用上の疑義について(昭和六三年一月二九日) (衛指第二三号)>
引用元:厚生労働省ホームページ 「旅館業法運用上の疑義について(昭和六三年一月二九日) (衛指第二三号)」より
1.3マンスリーマンションと一般賃貸の違い
もともとマンスリーマンションは、一般賃貸における空室対策のひとつとして生まれた運営形態です。
「築年数が古くて入居者が決まらない」「競合物件が多くなかなか埋まらない」といった物件をマンスリーマンションとして運営することにより、付加価値を高めたり差別化したりすることができ、賃料収入につながりました。
マンスリーマンションが一般賃貸と最も大きく違うのは、初期費用が安いという点です。
一般賃貸では、敷金・礼金・仲介手数料・火災保険・ルームクリーニング費用・鍵交換費用・家具や家電の購入費用などが発生しますが、マンスリーマンションを利用する場合には、これらの費用を負担する必要がほとんどありません。
例として、月額賃料60,000円の1Kのマンションを3ヶ月間借りる時、一般賃貸およびマンスリーマンションそれぞれの場合の初期費用をまとめてみました。
<一般賃貸とマンスリーマンションの初期費用の比較>
このように、マンスリーマンションの場合の初期費用は、一般賃貸の場合の約60%程度に収まることがわかります。
2.マンスリーマンションの主な利用者とは?
<マンスリーマンションの主な利用目的>
マンスリーマンションが登場した当初は法人需要が多く、長期出張や研修、あるいは単身赴任などによる社員の仮住居として主に利用されていました。
しかし近年は、マンスリーマンションという運営形態が社会に定着したこともあって、個人需要が増えています。
例として、家の建替やリフォーム時の仮住まい、長期旅行の宿泊先、受験や就職活動時の活動拠点、海外から一時帰国した場合の滞在先…といったケースがあります。
また、我が国の観光政策や2020年東京オリンピック開催などの影響により、世界各国から訪日外国人旅行者が年々増加しており、国内のホテルは予約が取りにくくなっています。たとえ予約が取れたとしても、宿泊料が非常に高額となっており訪日外国人旅行者の予算を圧迫しています。
そのため、そうした受け皿として経済的なマンスリーマンションを検討する訪日外国人旅行者が増えており、マンスリーマンションに滞在するケースが増加しています。
3.マンスリーマンションの利用方法を知ろう
3.1物件探し
まずは、物件を探さなければなりませんが、一般賃貸のように不動産仲介業者の店舗に行って紹介を受けるのではなく、マンスリーマンションのポータルサイトや事業者のホームページなどから直接探すのが一般的です。
GoogleやYahooなどの検索サイトで「○○○(エリアや駅名) マンスリーマンション」で検索すれば数多く検索結果が表示されます。
下の事例では、東京の吉祥寺でマンスリーマンションを探すことを想定し、「吉祥寺 マンスリーマンション」というワードで検索しています。
その結果、赤線のサイトはすべてマンスリーマンションのポータルサイトです。
特に、「LIFULL HOME’S マンスリー」は、最大手の不動産ポータルサイトのひとつである「LIFULL HOME’S」が運営しています。
<マンスリーマンションの検索事例>
マンスリーマンションは、一般賃貸のように物件を内見せず、インターネット上で室内写真を確認するだけで判断しなければなりません。
そのため、Google Mapなどを利用して、コンビニやスーパー、飲食店などの周辺情報を併せて確認しておくとよいでしょう。
ストリートビューを利用すれば、街の雰囲気などを掴むこともできます。
3.2申込~入居審査
気に入ったマンスリーマンションを探すことができたら、申込をします。
たいていのマンスリーマンションの申込は、各運営会社のホームページやメール、電話などで行います。
契約書類や身分証明書などの必要書類、鍵の受取方法などもメールやFAXでやり取りするため、申込から退去まで、運営会社へ行くことも担当者と顔を合わせることもありません。
申込手続きは最短で1日で終了します。
また、入居審査に関しても身分証明書の提示と保証人(緊急連絡先)の同意書の提出程度であり、一般賃貸のような厳格な入居審査はありません。
その点はホテルや旅館と同様であり、契約時に賃料やルームクリーニング費用を初期費用として支払うため、貸主側にリスクが少ないことも原因のひとつだと考えられます。
3.3入居時
マンスリーマンションには家具・家電・備品類が設置されているため、極端に言えば手ぶらで行ってもその日から快適に暮らすことができます。
ただし、トイレットペーパーやゴミ袋、各種洗剤などの生活必需品については、運営会社によって備品類に含まれていない場合もありますので、契約前に運営会社に確認しておくとよいでしょう。
水光熱費は一括して運営会社に支払うため、個別に電気や水道の契約をする必要はありません。
また、最近のほとんどのマンスリーマンションがインターネット回線を完備しており、その日からインターネットを利用することもできます。
ちなみに、鍵の受取方法は集合ポストを利用するやり方が多く、あらかじめ通知されたダイヤル番号で集合ポストを開けると、中にさらに暗証番号で開けるキーボックスが入っており、その中から部屋の鍵を取り出すパターンが多いようです。
ただし、最近はカードキーや暗証番号式のテンキーも増えており、シリンダーキーの鍵そのものを受け取らないケースも増えています。
<マンスリーマンションの鍵の種類>
3.4退去時
退去時も運営会社に鍵を返却に行く必要はなく、退去時に電話連絡を入れたうえで鍵を元のキーボックスに返却して完了です。
4.マンスリーマンションを利用する場合の5つのデメリット
まずはデメリットから説明しますので、デメリットをよく確認したうえでマンスリーマンションを利用するべきかどうかを考えましょう。
4.1一般賃貸より賃料が割高である
マンスリーマンションは、家具・家電・備品類が設置されており、敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用も不要なため、賃料が一般賃貸より高く設定されています。
しかし、入居期間によって差が出てきます。
例えば、3ヶ月程度の入居期間であれば前述の事例のようにマンスリーマンションは割高ではありませんが、半年以上入居するのであれば、場合によっては一般賃貸を契約して家具・家電・備品類を自分で揃えた方がトータルで割安となる場合もあります。
そのため、事前に入居期間に注意して一般賃貸にするか、マンスリーマンションにするかを判断しましょう。
4.2住民トラブルが起きやすい
マンスリーマンションの入居審査は、身分証明書や保証人の同意書などの種類を提出するだけであり、一般賃貸のような厳格な審査がないために誰でも入居できてしまいます。
そのため、まれにマナーの悪い入居者や悪質な入居者が住んでいる可能性があります。
そうした入居者がいる場合には、住民トラブルが発生するリスクがありますので注意が必要です。
また、訪日外国人旅行者がマンスリーマンションを利用している場合、文化や生活慣習の違いによるトラブルが発生するリスクも考えられます。
4.3事前に内覧ができない
一般賃貸の場合、気になる物件の内覧を申し出て、実際の広さや設備などを確認した後に契約の意思決定をすることができます。
しかし、マンスリーマンションの場合、内覧をすることはできません。
あくまでも、インターネット上のテキストによる物件情報と室内写真を確認し、Google Mapなどで周辺施設や住環境を把握しなければなりません。
インターネット上で調べても不明な点がある場合には、運営会社に問い合わせるとよいでしょう。
ただし、建物の外観や周辺施設、住環境などについては、現地に行くことが可能であれば、現地に行って自分の目で確認することもできます。
4.4自分好みのインテリアにできない
マンスリーマンションは家具・家電・備品類が設置された状態で借りることになります。
そのため、基本的に自分好みの家具やインテリアを置くことができません。
どうしても自分好みの家具やインテリアの部屋を利用したい場合は、ポータルサイトなどでデザイナーズ物件のマンスリーマンションを探すとよいでしょう。
ただし、そうしたマンスリーマンションは一般的なマンスリーマンションより賃料が高額なケースが多いため、注意しましょう。
4.5住民票を異動できない
住民基本台帳法第22条によると、引っ越してきた人などは、引越しをした日から14日以内に住民票を異動しなければならないと定められています。
(転入届)
第二十二条 転入(新たに市町村の区域内に住所を定めることをいい、出生による場合を除く。以下この条及び第三十条の四十六において同じ。)をした者は、転入をした日から十四日以内に、次に掲げる事項(いずれの市町村においても住民基本台帳に記録されたことがない者にあっては、第一号から第五号まで及び第七号に掲げる事項)を市町村長に届け出なければならない。
一 氏名
二 住所
三 転入をした年月日
四 従前の住所
五 世帯主についてはその旨、世帯主でない者については世帯主の氏名及び世帯主との続柄
六 転入前の住民票コード(転入をした者につき直近に住民票の記載をした市町村長が、当該住民票に直近に記載した住民票コードをいう。)
七 国外から転入をした者その他政令で定める者については、前各号に掲げる事項のほか政令で定める事項
2 前項の規定による届出をする者(同項第七号の者を除く。)は、住所の異動に関する文書で政令で定めるものを添えて、同項の届出をしなければならない。
引用元:総務省行政管理局運営 e-Gov 電子政府の総合窓口 より
14日以内に住民票を異動しない場合は、5万円以下の過料が科せられることも定められていますが、裁判所の判例によると次のようなケースでは例外と考えられています。
- 長期出張や単身赴任など、その場所に住むことがあらかじめ1年未満とわかっている場合
- 進学のために一時的にその場所に住むが、卒業後は実家に帰ることになっている場合
このように、生活の本拠が変わらない場合は住民票の異動を行わなくてもよいと考えられます。
マンスリーマンションを利用する場合は、生活の本拠は変わらないため住民票の異動義務がなく、住民票を異動することはできません。
ほとんどの運営会社は、契約書の中で「住民票の異動は不可」と規定していますが、マンスリーマンションに1年以上住む場合は住民票を異動することができる場合もありますので、運営会社に相談してみましょう。
5.マンスリーマンションを利用する場合の5つのメリット
続いて、マンスリーマンションを離床する場合のメリットについて確認してみましょう。
5.1手軽に入居できる
マンスリーマンションを利用する場合、一般賃貸と違って厳格な入居審査や複雑な手続き、さまざまな書類の提出などがありません。
必要な書類は、申込書・定期建物賃貸借契約書・保証人同意書・身分証明書などであり、書類や手続きのやり取りもメールやFAXで行うため、運営会社に出向く必要もありません。
このように、マンスリーマンションは手軽に入居することができるメリットがあります。
5.2初期費用が安い
マンスリーマンションを利用する場合は、敷金・礼金・仲介手数料などが必要ないため、一般賃貸と比較すると初期費用が非常に安くなります。
また、火災保険料や鍵交換費用を請求されるケースもあまりありません。
5.3引越し代がかからない
マンスリーマンションには、すぐに快適な生活が送れるように家具・家電・備品類が設置されています。
そのため、カバンひとつで入居することができ、引越し代がかかりません。
ただし、運営会社によって設置されている家具や家電が違う場合がありますので、事前にホームページなどでよくチェックしておきましょう。
5.4電気・ガス・水道の手続きが不要
マンスリーマンションの場合、一般賃貸と違って自分で電気・ガス・水道の利用手続きをする必要がありません。
すべて運営会社名義により契約されており、マンスリーマンション利用者は毎月固定の水光熱費を運営会社に支払えばよいだけです。
水光熱費の相場は15,000円~20,000円程度であり、基本的に固定料金ですが、あまりにも大量に使用した場合は超過料金を請求されることがありますので注意しましょう。
5.5インターネットが使い放題
マンスリーマンションの利用者が、自分でインターネットの申込手続きをしなくとも、Wi-Fi接続などによりすぐにインターネットを利用できる物件がほとんどであり、インターネット料金は、賃料もしくは水光熱費に含まれています。
ただし、物件によっては有線接続などの場合もありますので、事前に運営会社に確認しましょう。
6.マンスリーマンションとビジネスホテルとの5つの違い
仮にビジネスホテル(シングルルーム)に1ヶ月間滞在した場合と、マンスリーマンションを1ヶ月間借りた場合の生活上の違いなどについて見てみましょう。
6.1同じ料金でもマンスリーマンションは部屋が広い
ビジネスホテルとマンスリーマンションでは、部屋の面積が全く違います。
マンスリーマンションと価格が競合するビジネスホテルは、グレードが低めの安いビジネスホテルになるため、部屋の面積は10平方メートル~14平方メートル程度です。
それに対して、マンスリーマンションは一般賃貸用の1Rもしくは1Kの間取りのマンションを転用しているため、多くの部屋が18平方メートル~25平方メートル程度の面積があります。
その他、ビジネスホテルにはない玄関収納やバルコニー、クローゼットなどもあり、住みやすさはマンスリーマンションの方が上といえるでしょう。
6.2マンスリーマンションは自炊できる
マンスリーマンションはキッチンがあるため、自炊することができます。
電子レンジやフライパンなどの調理器具、食器類も備えられていることが多く、食材さえ買えば自分の好きな食事を作ることができます。
6.3マンスリーマンションは人を呼ぶことができる
ビジネスホテルの場合、宿泊者以外の人が室内に入ることは禁じられています。
もし、人と面会する場合には、ロビーや食堂などを利用しなければなりません。
マンスリーマンションの場合はそうした制約はなく、自由に家族や友人などを部屋に呼ぶことができますが、契約者以外の人が一緒に住むことはできません。
2名で入居したい場合は、追加賃料を支払うなどすれば認められることがありますので運営会社に確認してみましょう。
2名入居を申告せずに発覚した場合は、違約金などを請求されることもありますので、注意が必要です。
5.4マンスリーマンションは風呂とトイレが別々
ビジネスホテルの場合、浴室・トイレ・洗面所が一体となった3点ユニットがほとんどです。
しかも、内部は恐ろしく狭くて浴槽も非常に小さいです。
マンスリーマンションの場合は、洗面所は独立しており、浴室とトイレも別々であることが多いです。
これはマンスリーマンションが一般賃貸物件を転用しているためで、一般賃貸では3点ユニットは人気がないので、通常は浴室とトイレを別々にし、洗面所も独立した設計によって建築されています。
こうしたことからも、仮の住居として考えた場合にはマンスリーマンションの方が居住性や快適性に優れているといえるでしょう。
5.5室内清掃や朝食サービスなどはない
マンスリーマンションには、ビジネスホテルのような室内清掃や朝食サービスなどのルームサービスはありません。
室内の清掃やシーツやバスタオルなどのリネン類の交換など、いっさいを自分で行わなければなりません。
そのため、洗濯機や掃除道具などが備えられているのです。
7.マンスリーマンションと民泊との2つの違い
近年、訪日外国人旅行者の増加、Airbnbなど民泊ポータルサイトの登場、国による法整備などを背景に、民泊物件が激増しています。
民泊物件にも家具・家電・備品類が設置されているため、商品として考えた場合、マンスリーマンションやウィークリーマンションとの違いはほとんどありません。
ただし、法律上の制約や運営の目的などにおいて若干違いがありますので、ポイントについて説明します。
7.1法律上の制約について
民泊には「簡易宿所」「特区民泊」「民泊新法(住宅宿泊事業法)」による3種類の運営方法があり、それぞれを規定する法律や許認可などが異なります。
<マンスリーマンションと民泊の比較一覧>
法律上の制約に関して、マンスリーマンションと民泊の大きな違いは「最低契約期間」です。
民泊は1泊から利用することができるメリットがありますが、1ヶ月以上の利用を予定している場合はマンスリーマンションを選択した方が経済的に有利であることが多いでしょう。
1週間以上1ヶ月未満の利用は、ウィークリーマンションと民泊を比較・検討しましょう。
7.2外国人との交流が目的
「訪日外国人を宿泊させて、外国人との交流の中で異文化に触れたい」という目的のために民泊を運営する人が増えています。
民泊新法(家主居住型)の届出を行うと、手軽に自宅の1室を民泊物件として運営することができるためです。
訪日外国人旅行者の中にも、「ホテルに宿泊するより民家に宿泊して日常的な日本の文化や食事を経験したい」と考える人も多いため、根強い需要があります。
このような目的のために自宅の1室から運営できるのが民泊であり、マンスリーマンションとは大きく異なるポイントです。
8.マンスリーマンションの今後の動向
1983年(昭和58年)、司建物管理有限会社が日本で初めて、ウィークリーマンション事業を開始しました。
「ヨン・ヨン・マル・マル・ワン・ワン・ワン、ツカサのウィークリーマンション…」というテレビCMを記憶されている方もいるのではないでしょうか。
法律的にはグレーゾーンもありましたが、使いやすさと手軽さでどんどんとウィークリーマンションは定着していき、現在のマンスリーマンションの原型となっています。
その後、1991年(平成3年)には株式会社泉ハウジングが「ミスタービジネス」というブランドネームでマンスリーマンション事業を全国的に展開し、2001年(平成13年)には株式会社レオパレス21が「マンスリーレオパレス」というブランドネームでマンスリーマンション事業に参入してきました。
レオパレス21のテレビCMをはじめとした大々的な広告宣伝により、マンスリーマンションは社会的に完全に認知され今日に至ります。
完全に市民権を得たマンスリーマンションですが、民泊が登場したこともあり不動産オーナや事業者はさまざまな運用方法の中から最適な方法を選ぶことが可能となり、利用者もニーズに沿った物件を選べることができるようになりました。
というのも、一般賃貸は2年、マンスリーマンションは1ヶ月、ウィークリーマンションは1週間、民泊やビジネスホテルは1泊と多様な時間軸での運営形態を選ぶことができるためです。
今後は、利用者が自分の時間軸に合った運営形態を選択して利用することができ、各事業者間の相乗効果によって、より良いサービスが生まれてくると考えられています。
例えば、比較的始めやすい民泊新法による民泊運営は、年間180日が営業日数の上限ですが、残りの185日をマンスリーマンションとして運営することで、事業者にも利用者にも双方にメリットがあることでしょう。
時代の流れとともに多様化するライフスタイルや社会的変化に応じて、さまざまな時間軸で物件を選べることは賃貸市場の活性化にもつながると期待されています。
9.マンスリーマンションはさまざまなニーズに対応している
マンスリーマンションについて解説してきました。
マンスリーマンションやウィークリーマンションは、ビジネスホテルと一般賃貸の中間に位置する運営形態であり、長期出張時の仮住居から訪日外国人旅行者の利用まで、さまざまなニーズに対応しています。
一般賃貸よりは割高になりますが、初期費用がほとんどないため短期間の利用であれば、間違いなくお得です。
民泊が登場したことから、物件のグレードや賃料、室内のクオリティなども向上しており、機会があればぜひ一度利用してみるとよいでしょう。