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世の中に必要なのは“自分のペース”と向き合うこと

目次

「対話」をテーマにイベントを開催

Q:現在のお仕事は?

 現在は商社で営業をしていて、社会人5年目です。
 生活に関する資材や外食産業さんの割り箸などの消耗品を卸したりする仕事をしています。基本的には国内でのお仕事が多いですね。今の会社では経理部に3年間、それから営業部に移って2年目というところです。経理では財務や資金繰りなどを担当していました。

Q:プロハでの活動は?

 大学で教育学部だったのですが、中高の社会科の免許を持っているんです。でも社会に出るときに、大学から学校勤務というような学校しか知らない状態が嫌だったというのもあり、教師になるにしても一度社会に出てからにしようと、現在の会社に入りました。
 一度社会に出てどのような形で教育に戻ろうかと考えている中で、社会科教育にはずっと興味があったのですが、それとは別のベクトルで対話というものにすごく興味がありました。対話を通して、肩書とかではなく、ありのままの自分の表現を認め合うという所にすごく興味があったんです。そういった考えがあって、2014年の後半くらいから月に1回対話の場を開くという活動をしています。
 過去の自分の旅について語ったりもしましたし、アートができる人を呼んで、絵で表現したらどうなるのかというような事もしましたね。私の活動に共感し集まってくれる人には、本当に感謝しています。
 また2015年の1月には「天下無双合宿」というタイトルの社会人合宿の幹事を務めました。合宿は2日間「夢」というテーマで、20代~30代前半の様々な業種の人が集まって20人くらいで開催しました。
 毎回幹事が総入れ替えし、想いでつながっていく合宿なのですが、私が幹事の会は過去の自分のルーツを辿って夢や未来について語り合うというような内容にしました。
 まず自分の過去のタイムラインを書いてそれをシェアして、これから何をしたいか考える感じです。
 社会人になると学生の時のように本気で語り合える仲間がいなくなってしまうので、自由に語れる場は自分にとっても貴重な体験です。
 他にも、2015年にはシェアオフィスで月に1回、カフェを開催しました。
 パティシエになりたいという子と、もう一人と合わせて3人で始め、私はその中で対話の場づくりを担当していました。カフェ形式の対話の時間でした。「多世代の対話」というのを目的に、月ごとにテーマを決めて文化や戦争について語り合うなかで、「対話だけをしていて意味はあるのだろうか?」という気持ちが自分の中で強くなったのは大きな変化でした。
 安心安全な場は対話によって作る事ができても、それは本来自分が求めているものとは違う。自分が本当に求めているものは、その安心安全な空間から踏み出せる一歩だと気付いたんです。
 もちろん、すごいねと集まってきてくれる人がいたから成り立った事ではあるのですが、建設的な批判とかお互いの成長を加速させていく要素が足りなかったと感じました。
 元々は3人とも目的もなく始めてしまったので、最初はとりあえず人を呼んで料理を出してというような状態だったんです。
 でもある時「目的がないと人は来ない」ということに気づいて。最初は楽しそうだから来てくれても、毎回は来てくれない。やはり自分達が何をしたいかというテーマを打ち出さないとという事で、後半はその時の季節にちなんで「秋」をテーマにして読書について対話をしたり、料理も秋らしいものにしてみたりもしました。
 みんなが参加できて何かしらのテーマを提示して、そこに人が集まってくるという仕組みを作る部分で、少しずつ変われたのかなと思っています。

Q:プロハとの出会いは?

 梶さんがやっている無人島プロジェクトに参加したんです。そこから、最初にプロハに来たのは2016年の2月ですね。初めて来てみてまず思ったのは、色々な人に出会えそうだなということ。
 人が一歩踏み出すのを応援したいというコンセプトもステキですよね。何かを形にすることの背中を押す場所の意味って、すごく大きなものだと思います。
 また、元々カフェができる場所を探していたというのもあって、駅から近くていつでも使えるという条件は嬉しいです。個人的な話ですが、プロハのインテリアや家具が好きなんですよね。木のテーブルってカフェにはぴったりですが、他のシェアオフィスにはなかなかないので。これからどんどん利用していきたいですね。

Q:これからチャレンジしたいことは?

 社会科の勉強会と、減速カフェです。実はこの3月にお休みをとって屋久島に行ったんです。カフェを開催していた時の話に戻りますが、私には明確な目的だなかったんです。イベントの内容よりも私がいるから来るという感じで、そんな状態にモヤモヤしたものを感じていました。その時、自分にも何かなくてはダメだと思ったんですね。

 2016年はそれを探すことを目標に迎え、目的を探すために色々な所に出向いたりセミナーに行ったりしました。
 しかし、立て続けに体調を崩してしまって。明らかに自分の心身のキャパを超えて動いてしまっていたんだと思います。でもそれを自分でも止められない、そんな状態でした。
 インドネシアに行くはずが、予定の2日前にパスポートを失くしてしまったりもして。その時になってやっと、自分が今動いている速度がおかしい、自分は心も身体も疲れきっているんだということに気づいたんです。そこで初めて、すごくのんびりしたいと思いました。
 焦ってしまっていたんですね。そのおかしくなっているスピードを減速したいということで、屋久島に行きました。屋久島では高校の時の教員が辞めてペンションを経営しており、そこでボーッと何も考えない数日間を過ごしました。
 からっぽな時間を過ごしてみて、他者のスピードや社会のスピードに合わせて生きて行くうちに、自分のペースって意外に見失いがちで、そういったことが心の病気などにも繋がっているんだろうと思ったんです。
 屋久島に行き、非日常的な空間で色々と減速して癒されたのですが、それと同時に今の私はもう少し日常にとどまっていたいとも思いました。私でいうなら、サラリーマンをもう少し続けていたいとかそういう意味で。  そこで思ったのが、日常の中で非日常にもっと人を繋げたい、あくまでも日常の中で減速を意識できる空間を作るということをやってみたいなと。
 今考えているのは、月1回くらいのペースで「自分のペースってそもそもなんだろう?」とか「普段の自分はどんなペースで動いているんだろう?」とかっていうのを対話によって意識する会です。私が屋久島に行った時の経験を元に、非日常の身近さを伝えたりできたらなと思っています。

Q:来年の自分の姿は?

 世界一周をしてみたいですね。アフリカ、イスラム圏には特に興味があるので。元々、世界一周をしてから社会科の教材を作りたいという思いがあるんです。丸暗記の社会科ではなくて、歴史の中からどんなふうに政治、経済、宗教が生まれてきたのかとか、未来を創っていくために過去ってどんなものだったっけ?というようなものを学ぶ「よりよい未来を共に創っていくための」社会科に興味があるんです。
 世界はどう成り立っていて、どんな人たちが暮らしているのかというのを考える授業や、自分たちの未来を創っていくためのツールとして学ぶことができるような教材。そういうものを作れたらいいなと思っています。

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ABOUT US
弦本 卓也
1987年、埼玉県生まれ。大学卒業後、大手広告会社「リクルート」にて不動産メディア「スーモ」(SUUMO)の運営に従事。新卒で入社して、スーモのメディアづくりを7年、その後にエンジニア組織の組織づくりを4年行う。 また、リクルート社内の部活動制度にて「大家部」を立ち上げ部長を務める。不動産投資に関する情報交換や物件見学のワークショップなどを行う。 入社2年目に新築一戸建ての広告を取り扱う部署に異動したことをきっかけに、「いい企画を作るためには、まずは自分で経験したい」という想いから個人で新築一戸建てを購入。その翌年には売却分野を担当したことをきっかけに売却も経験。マンションの売買なども行い、11年間で11回の引っ越しを経験。 「新しい住まいや暮らしを自ら探究したい」という気持ちで購入した東京都千代田区の神保町の中古ビル「弦本ビル」は、コワーキングスペース、シェアオフィス、シェアハウス、飲食店が入居する複合ビルとなっており、20代を中心とした若手社会人や学生のやりたいことを実現する場所として注目を集めている。3年間で延べ1万人以上の来場者を記録し、家賃年収1,400万円を達成しながら満室経営を続けている。 お金面とビジョン面の両立を大切にしており、モットーは「一人ひとりの可能性をもっと世の中に」。会社員を続ける傍ら、学生時代に起業した会社とあわせて株式会社を3社創業。うち1社は売却し現在は2社を経営している。他にもエンジェル投資家として若手実業家の支援を手がける一面も。 日経新聞や不動産業界紙、書籍や雑誌、テレビなどでも多数の注目を集めておりセミナー講師なども行う。宅地建物取引士を保有。