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このような時代のなかで、いよいよあらためて「自分と向きあう」ことが求められる時代がくるでしょう。
心理学の有名な理論のなかに、「マズローの欲求5段階説」があります。
上記の5段階に加えて、超越的な自己実現の欲求の順番に、個人の欲求は高まっていくといわれています。
すでに、生理的な欲求や、安全の欲求は満たされてきている時代です。所属と愛の欲求、承認の欲求も満たされてきており、これからは、自己実現、超越的な自己実現が求められるでしょう。
ここまでは自分の「生きる意味」を考えるまえに、生き物のルールを知り、人類の進化の流れを知るということをしてきました。これまでのことを踏まえて、自分はどういうふうに生きるかを具体的に考えるのが本章になります。
人類の長い歴史のなかで、人は長くても100年しか生きられないと考えられています。どうせ死ぬのであれば、他人に迷惑をかけない範囲で、自分の好きなことをして、有意義な人生を過ごすのがいいのではないでしょうか。
弦本は、自分がワクワクしながら、目の前の人のためになって、世の中のためにもなるという生き方をできればと思っています。
日本の古い言葉に「足るを知る」という表現があります。
足りているということを自分で知るということです。欲を出しすぎず、自分のものはすべていつか自分のものではなくなるということを自覚するという意味です。
人の欲は、大きくなると、ずっと大きくなっていってしまいます。幸せの閾値を下げておくことによって、どんなに些細なことでもすぐに感謝できるようになることが、幸せになるためのコツだと考えています。
2つめの言葉が「無知の知」という言葉です。
こちらはギリシャ時代の有名な哲学者ソクラテスの言葉です。「自分が知らないということを知ろう」という意味です。
変なプライドを捨てて、自分には知らないことが多く、間違っていることもあるということ、自分の判断には限界があり、錯覚やバイアスがあることを素直に認めることが大切です。
いずれの言葉も、贅沢をしすぎないということ、傲慢になりすぎないということ、謙虚になるということを考えさせられます。
謙虚になると、自然とまわりのことに感謝の気持ちがわいてきます。
たとえば、電車に乗って隣の駅まで行くのに、だいたい都内だと130円を払えば行ける思います。しかしそれは、世の中に電車をつくった人がいて、鉄道を敷いた人がいて、深夜に点検をしている人がいて、駅長さんなどがいて、電車に乗る人がたくさんいるから、130円で隣の駅まで行けるのです。
自分ひとりだったら、歩いて何十分もかけて行かなければいけないところを、自分ではできないことを、他の人たちのおかげで実現できているのです。それぞれが助け合って、支えあって、世の中が成り立っているのです。
謙虚になることで、人に優しくできるようになります。まずは家族や仲間、目の前の人たちに優しく接します。
家族を大切にして親孝行をしたり、仲間を大切にして感謝をしたり、恩返しをする。自然を大切にして、地球に優しくします。愛をもって人や世の中、環境に接します。
相手の気持を考える、マナーを守る、間違ったときには先に謝るなどといったことは、非常に大事です。だれにでも優しく接するようにします。
世の中には、ネガティブとポジティブの2つがあります。しかし、それぞれは表裏一体の関係です。光があるから影がある、影があるから光がある、のです。それぞれがそれぞれを浮き立たせています。
そのため、どんなにネガティブなことでも、ポジティブの側面で表現することができます。
たとえば、落ち着きがない人は、一見短所のようにみえますが、1つの場所に留まらずにいろんな場所に行く人だととらえると、ポジティブにみられます。
固定観念にとらわれた頭が固い人は、軸や信念があるという意味で、長所としてとらえられます。
そう考えると、人にはだれにもいいところがあり、尊重できる部分があります。
嫉妬などのネガティブな感情も、ポジティブにとらえることができます。たとえば、同世代で活躍している人がいたり、自分ができないことをできる人がいたりしても「この人も活躍して頑張っているのだから、自分も頑張ろう」というふうに、ポジティブにとらえます。
同じ景色をみるのであれば、ポジティブにとらえたほうが気持ちがいいです。
たとえば、コップの水が半分あったときに「もうない」と思うよりも「まだある」と思ったほうが気持ちがよいです。
悪い出来事も、自分を成長させてくれるいい機会です。たとえ悪いことがあっても、これからよくなるための試練だと受け取る心持ちで、どんなにネガティブなことでもポジティブにとらえます。
苦しみは幸せのためにあり、困難は挑戦のためにあります。制約をポジティブにとらえることで、それを乗り越えるために前向きに楽しく頑張れたり、壁があることによって線形ではなく、一段上に飛び跳ねて成功したり、イノベーションが生まれるのです。
一見無駄なものでも、これから活用するためにあるのです。
笑いの余裕は、普段から忘れないようにします。どんなに辛いときでも、冗談をいえる余裕をもちます。冗談を忘れず、ときに馬鹿になります。
言葉は言霊とも言われます。ふだん使う言葉が、現実でもそのとおりになるという意味です。ポジティブな言葉は、ポジティブを引き寄せます。
相手を受け入れるためには、まずは自分が自分と相手を受け入れます。
自分の性格や、自分のやってきたこと、自分の可能性を信じます。夢や希望、個性や価値観も大切な資産です。
何をするにも、スタートは1人のワクワクからはじまります。まずは自分が熱中して、自分が本気になること、ワクワクすることからはじめます。
自分がワクワクすれば、自然とそのことをやらずにはいられなくなります。そうすると、相手にも本心から推薦するし、それがおもしろいと気付いてもらえます。ワクワクは伝播していきます。
そのためには、まずは自分のやりたいことを考えます。すべての制約を取り払って、自分が心からやりたいことを書き出します。どんなにくだらないことでも、思いついたものを次々書いていくことが大切です。
次に、それをもとに、自分がなりたい状態を考えます。こういう場所で、こういうことをして、こういう暮らし方をしたら私は幸せだなという状態を、具体的にイメージします。
このとき、おみくじの項目をカテゴリーにして書き出すと、人生をMECEにモレなくダブりなく考えることができるので、おすすめです。
好きなことを見つけて、好きなことに取り組んでいるときは、子どもが遊んでいるときのような状態になります。これは「フロー状態」とも呼ばれます。まわりのことが入ってこなくい、ものすごく熱中している状態です。
寝ても起きても夢中でいられるものです。たとえお金がもらえなかったとしても、命令や強制をされなかったとしても、勝手にやってしまう、自然とやってしまうということが、自分の好きなことです。
好きなこと、好きでないことに分けて、それぞれキーワードを書き出していきます。そして、好きなことに共通するものを見つけます。
以下の本や診断のサービスは、自己分析をするために役立ちます。
「自分のやりたいことがわからない」という場合には、これまでの人生を振り返るのがおすすめです。
0歳から今までの年齢を横軸に書いて、モチベーションの度合いを縦軸にとります。モチベーションの高さのグラフをつくるのです。何歳のときにどういうことがあって、どう感じていたというのを書き出しながら、グラフを描いていきます。
そうすることで、共通して自分のモチベーションが上がっている理由や、逆に共通して自分のモチベーションが下がっている原因が見えてきます。
その共通点をさがすことで、自分がやりたいことや自分が好きなことが見つかります。
このように、自分の歴史から学ぶ方法もありますが、反対に、自分の外側に向かうことで、自分を知る方法もあります。
それは、身近な人たちに会って話を聞く方法です。いろいろな人たちに会い、いろいろな選択肢を知ることにで、自分はどの選択肢が一番よいのかを考えます。
自分がいいなと思う人たちに思い浮かべて、連絡をとってインタビューをします。もし可能であれば、モチベーショングラフを書かせてもらいます。
その人の考え方や生き方、1日の過ごし方を聞いてみて、いいと思ったものは真似します。「この人のこの部分はいい」、「この人のこういう部分を目指したい」というものを、自分のなかに取り込みます。
こうして、自分の好きなものや大切なものを知ることができます。
自分にしかできないことは、じつはほとんどありません。たとえ会社で頑張って働いていても、退職や休暇をとるとわかりますが、代わりの人がなんとかできてしまうものです。会社とは、そのように組織ができています。
そのようななかでも、「これは自分にしかできない」と「自分が思える」ものに出会えることが大切です。そう思えるものに向き合えると、毎日が幸せになります。
100人に1人の人材になるのは、比較的簡単だといわれています。100人に1人の分野を自分のなかに3つと、100×100×100分の1の人材、すなわち100万人に1人の人材になれます。
これはまではT型人材といって、アルファベットのTのようにひとつのものを深く学んできた時代から、π型などの、2つ、3つと専門性をもつ時代になります。
まずは、たとえ与えられた仕事でも、食わず嫌いをせずにやってみます。ポジティブにとらえることで、仕事の中に、楽しさを見出します。
たとえば、会社員の場合には、本業の目の前の仕事を、まずは頑張ります。
主体性が身につくと、仕事の生産性があがり、仕事がスムーズ進むようになると、さらに前向きに取り組めるようになります。また、一段上の経営者に近い視点で物事を見られるようになります。
もちろん、目の前の仕事を頑張ることは、信頼や実績、会社からの評価を上げることにもつながります。実際に労働収入を上げて、勤労期間で信用を高めることで、多額の「ローン」を組めるようになることもあります。
ただし、だらだらと働くのはよくないです。かぎられた時間のなかで成果を出すことは難しいですが、生産性を高めることは、普段の生活でも役に立ちます。
他人からの評価は参考までにします。他人の評価はいちいち気にしても仕方がないです。もちろん人としての道義や人道に反さない範囲です。
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