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ヨーロッパ周遊記(20100812日本→アラブ→ロンドン)

成田空港の第一ターミナル駅まで彼女が見送りに来てくれた。そこでクッキーと手紙をもらう。キスして写真を撮って、冷や汗と臭いを付けたシャツを渡して、いよいよお別れの時間になった。

空港は閑散としていて、部分的にしか明かりが付けられておらず、まるで閉店してしまっているかのようだ。どの手続にも列に並ぶことなくスムーズに進む。
空港のお姉さんに「エティハド航空ですか?」と声を掛けられる。まるで、この時間にはエティハド航空のみの運行で、それが成田空港の最終便なんだとでもいうような雰囲気だ。
21:10にチケットを発券して、荷物にⅩ線を通して、21:20に54番ゲートにたどり着く。既に小さい子供連れや優先の人の搭乗が始まっている。なんとか間に合った。
今日は荷作りから換金まで、非常にバタバタしていた。研究室の1/4進捗の発表やら、リクルートの新規事業コンテストのNew RINGやらが終わってから、すぐに出掛けるスケジュールだったので、慌てて準備をして本当に時間がなかった。

出発ゲートの待合室から、彼女に最後の電話をする。
今日は換金に付き合ってもらって、見送りに来てくれてありがとう。本当はもっと早く来て、お別れの空港の雰囲気を共有したかったけれども、連日あまりにバタバタしていたせいで、準備が遅くなって迷惑をかけてしまったね。。。
旅立ち前のこんな電話も恒例になった。ニューヨークのときも、韓国のときもそうだった。これで日本での生活に区切りがついて、そこから旅が始まるのだ。
「愛してる」と「行ってきます」を伝える。本当は2ヵ月も一人で海外に行って欲しくないって言ってたけど、理解してくれてありがとう。

係りの人にチケットを渡して、飛行機に搭乗する。
予約のときに窓際にチェックをしておいたからだろう、窓際の席になっていた。左の羽の付け根の座席だ。
搭乗をしても離陸までの間は通信機器の利用を許されているので、mixiに出国に関する日記を書いて、ツイッターでつぶやいて、彼女、そして母親にもメールをする。
こんなときはいつも、なんだかんだで家族は後回しになっちゃうのが寂しい。本当に申し訳ない。

夜空をめがけて飛行機がゆっくりと動き出す。
青と緑と赤の発光ダイオードが滑走路に打ち込まれていて、飛行機に夜道を案内している。
飛行機は20分ぐらいかけて遠くの滑走路へと向かう。深夜の飛行だから近隣の迷惑にならない滑走路まで移動しているのだろうか。
あまりに長い間、時速30kmぐらいで走るもんだから、そのまま地べたを這ってアブダビ空港まで行くのかと想像してにやける。

やっと一人の時間ができた。俺は孤独が好きだ。誰にも縛られずに、自分自身にすら縛られずに、一人で自由にいられることは幸せだと思う。
いや、別に他人といたくないってわけではない。だけど、どこか自分のためにいられる場所が欲しいんだよね。
一人になって、自分のことだけを考えることの幸せ。自分が本当に欲しいのは何か、自分は何を楽しいと感じるのか、自分は何を快感と感じるのか、それらを自分の中から引き出したいと思っている。
取りあえず、今は必死に記録を取りたい。今思っていること、感じていることを、文字として記録に残していきたい。
離陸のときは、携帯にもメモができないからね。

飛行機は一瞬停止して、40秒ほど加速して離陸した。
アラビア語を話す機長のアナウンスは分からないけれども、その後の日本人のアナウンスは分かる。日本語って外国人にはどんな風に聞こえるんだろうか。
取りあえずアラビア語は「はんならーはんならー」って感じで、流れるようで眠くなりそうなリズムに聞こえた。

日本の気温は26度。小雨で少し風が吹いている。台風が西日本に近づいてる影響なのかもしれない。
エティハド航空の機内の設備は厳かだ。背もたれにはタッチパネルの画面があって、ヘッドホンも立派なもので、クッション付きの入れ物に歯ブラシや耳栓、アイマスクが入っている。石油の国だからか、この航空会社はお金持ってるなー。クレジットカードを使えば、上空から電話もできそうな説明が書かれている。

1時間ほどすると、フライトアテンダントさんが毒々しい色のあられを持って現れた。飲み物にアップルジュースを注文すると、「どうぞ」って日本語で渡してくれた。
彼女は日本人ではなさそうだ。彼女の英語は韓国人っぽい英語だな、と思った。
韓国っぽい英語は、詰まるというか、「ハヒフヘホ」が「パピプペポ」になるような印象がある。
ビールも注文できるみたいだった。旅立ちの門出に、ビールで出国も悪くないけどね。
フライトは10時間、8100kmを飛んでアブダビ空港に向かうんだそうだ。
その間に俺は、リクルートの新規事業コンテンストのNewRINGの提案アイデアをまとめたり、旅程を考えたりをしなきゃならない。

実は今日は夕飯を食べていない。お腹を空かせて堪えていると、日本時間0:00になって、夕食が運ばれてきた。
どうやら夜食には和食と洋食があるらしい。日本からの離陸だから、和食もメニューに取り入れてあるんだろう。
俺は洋食にしようと思う。日本人がわざわざ和食ってのも面白くないもんね。それに、日本食は日本で食べたほうが美味しいに違いない。
和食?って聞くのに、「Japanese?」と聞かれて、思わず日本人だから「Yes」とか答えないように細心の注意を払いながら、和食ではなくパスタを注文する。飲み物は今度はオレンジジュースだ。


フランスパンがパサパサしてたけど、機内食は普通に美味しかった。きっと機内の食器じゃなくて、レストランの高級な食器に乗って出てきても、多くの人は気が付かないと思うよ、なんて。
お腹がペコペコで飛行機に乗ったのに、機内食だけで満足することができた。
ところで、メニューに書いてあった「ハラール認定の食事ってイスラム教徒向けなのかな。
食後のデザートにアップルパイを潰して温めたようなドロドロのパイが出てくる。

食べ終わったトレーを持ちながら手荷物を探っていると、隣に座っていた30歳ぐらいの日本人の女の人が代わりにトレーを持ってくれた。
それをきっかけにしばらく話をしたんだけど、彼女は一人でトルコからギリシャあたりを一ヵ月かけて渡るんだそうだ。大学生時代に3ヵ月間のヨーロッパ旅行もしたらしい。今は仕事を辞めたばかりで、今回は転職の前のリフレッシュ旅行なんだそうだ。
学生時代が最後の長期休暇だと思って、時間だけ確保して飛び立ってきたのに、いきなりの衝撃だ。なんだ、学生だけじゃないんだ。

機内のディスプレーをいじると、ビデオやゲームが用意されていた。そこで、『アリスインワンダーランド』を観てみる。ステレオで左右から違う音が出る。
確かに、もっと音声って発達しても良いのになぁ。まだまだリアルの音とは程遠い音源だから、人口の耳の中にマイクを入れるなりして録音すれば、音声の3Dなんて、画面よりも簡単に普及できるんじゃないだろうか。
コーヒーをもらって、彼女の手作りのクッキーを食べる。手作り特有の小麦粉っぽい味がほとんどしなくて美味しい。味は2種類かな、チョコレートとココナッツ、ココナッツは彼女が嫌いな食べ物だったっけか。


手紙にはオペラのストーリーなんかが書かれていた。いつも彼女にはしてもらってばっかりだなぁ。
『アリスインワンダーランド』を見終わる。CGが綺麗だった。特に、水滴から映し出すシーンが印象的だった。小さくなってもなんで小さな服を着ているのかとか突っ込みどころはあったけど、ストーリーは予想通りの展開で、白の女王の滑らかな動きがツボだった。こんなCGでアリスを観る子供の世代は、大きくなったらどんな想像力を持つんだろうか。

夜の上空を飛行する。
日本時間3:00に、中国の西側の上空を通過する。地上のライトはオレンジ色の光で、日本の白色とは違って見えた。
南の空には、星がものすごい数存在する。今までに見たことのない量だ。バリの地上から見た星も多かったけど、これはきっと天の川に違いない。宇宙旅行をしている気分だった。宇宙を旅行するとこんなんなんだろうな。と思ったら、この状況も、地球という星を離れて、宇宙を旅していると捉えられるんじゃないか、と妙に納得してしまった。流れ星を2つ見たような気がした。
高校生のときの修学旅行でオーストラリアに行くときにも飛行機から星を見た。あの時も感動したんだったなぁ。
絶対にここは地球上のどの場所よりも星空が綺麗に見えるはずだ。だってここは上空なんですもの。そもそも地球上なのかはわからないけれども。

寝たり起きたりして睡眠3:15→5:15を取る。途中でポップコーンが運ばれて来て目を覚まして、そして水を運ばれてきて目を覚ます。近くの子供が大泣きして目を覚ます。
口の中が乾燥しているのはコーヒーのせいだろう。今日は歯ブラシもしていない。口内炎にならないようにしなくちゃな。


ロンドンは現在21:30だ。少し起きて時差ボケ対策に備えたいけど、機内が暗くて他に何もすることができない。
さっきから来てくれていたフライトアテンダントさんは中国人のようだ。
地上のライト、フライトアテンダントさん、日本が真夜中でも、こうしていろんな国で、いろんな人が働いているんだなぁ。

喉がカラカラだ。喉が渇くと、多少高くても水を買ってしまうかもしれない。本当に喉が渇くと身体ですら切り売りしても構わなくなってしまうかもしれない。それほど水っていうのは生命に近い関心事で、重要なんだろうな。マズローの欲求5段階説とかいうやつだ。
きっと、今回の旅で本当の危機にぶち当たるだろうから、そこで感じるものを大切にしていきたいと思う。

日本時間7:00に朝食が運ばれてくる。やっと水分にありつくことができる。
ここでも和食ではなく、オムレツを注文する。オムレツはパサパサしていた。

今回の旅は、とりあえずチケットだけを取って、とりあえず自由に現地を旅してみようというコンセプトの旅だ。
用意したのは時間とお金と、往復の航空機チケット、ユーレイルグローバルパスユース、国際学生証、ユースホステル会員証、初日の宿の予約だけだ。
特にどこに行こうと決めているわけでもないし、『地球の歩き方 ヨーロッパ』も買ったものの、ほとんどまともに読んでいない。
今回は、完全に現地で考えて過ごそうという旅なのだ。
きっと、実感が沸かないのは、綿密に計画して旅行に行くことをモチベーションにして来ていないで、ただなんとなく行こうとしていることに原因があるのだろう。
夏休みに塾の先生で毎日7コマ10.5時間で、日給1.7万円ほどで連日働いてきたけれど、本当に価値のあるもはお金でも時間でもなくて、人間そのものなんだと思う。時間やお金よりも、それらを生み出す上手いプロセスやシステムの方が、価値があるんだ。

乗り物の中ではあまり書類や書物に目を通す気が起きない。
水分補給のために、コーヒーとともに水ももらってみる。
コーヒーを飲み終わると眠くなったので、しばらく眠りにつく。睡眠8:00→9:00だ。

日本時間9:00に乗り継ぎのアブダビ空港に着陸する。着陸に気付かないほどにぐっすり眠っていた。

アブダビ空港はそんなに大きくはないようだ。日本時間9:15は、ここ、アラブ首長国連邦時間では4:15になっていた。
次は7:30に搭乗、8:30に離陸なので3時間の休憩時間がある。
機内から空港へと移動する。日本発の飛行機なので、日本人観光客が多く搭乗していたようだ。

日本人は写真が好きだなぁ。機内食や乗り継ぎ空港の写真までも撮っているのは日本人観光客ぐらいかもしれない。
空港内では、異常にクーラーが効いていて寒かった。
しばらく空港内に設置されていた無料のパソコンをいじる。備え付けのパソコンでは漢字の表示ができない。もちろん日本語のキーボードもない。
取りあえず、換金した金額を把握していないので、トイレにて所持金を確認する。まだまともにお金を数えていなかったからね。
所持金は日本円227,000円、167ドル×90=15,030円、260ポンド×140=36,440円、2,525ユーロ×110=277,750円、の合計55万円ぐらいだ。これで60日間をなんとか旅しようと思う。
トイレの横の広間では、イスラムの礼拝が行われているらしかった。

早朝の5:00なのに、ブランド店もお土産屋さんも両替屋さんも開店している。
国営の銀行の窓口でレートを教えてもらう。ここでは日本円を地元のお金に換金して、再びユーロやポンドに替えるのでレートが悪くなってしまうようだ。
1ユーロ121.31円、1ポンド146.98円とメモしてもらった。最後に「Thank you」と言ったら指でグーしてくれた。換金しない冷やかしだったのに優しくしてくれてありがとう、おじさん。

それから2時間ほど自分のパソコンで、空港の無線LANを使ってNew RINGの最終資料を作り、メンバーにメールした。リーダーなのに、資料も中途半端に日本を離れてしまって申し訳ない。
現地時間で7:00を回ると観光客も増えてきた。
7:30の搭乗時刻にも関わらず7:15に移動を開始する。チケットのゲートの欄が空欄だったため、ゲートを尋ねて荷物チェックの列に並ぶ。
係の人にチケットを見せると列の割り込みをさせてもらうことになる。ちゃんと事前の行動をしていれば余裕を持って移動できていたはずなのに。荷物のチェックは非常に並んでいた。

その後のパスポートチェックでは、ルーペを使ってスタンプや写真が偽造でないかを細かく調べられた。
登場時間ギリギリに29番ゲートに到着する。しかし、すでにゲートが締まっていた。係の人に状況を尋ねる。すると、機内を清掃中で、別に俺が置いて行かれたわけではないとの説明を受ける。まだ開いていなかったのだ。
結局、30分ほど遅れて搭乗が始まった。そんなに焦ることはなかったんだなぁ。
離陸前に、機にて早々にビックベンを済ませる。ビッグベンに挨拶に行く前に(笑)

日本時間13:30に離陸。ここの時間では8:30で、予定通りだ。
今度は日本が離着陸に関係なくなったからだろう、空港にはまだアジア系の顔つきが多くて親近感が湧いたけれども、ここからは急にアジア以外の景色になった。
西洋人の男はマジでカッコイイ。話しかけると、顔の筋肉を巧みに使って表情豊かにリアクションしてくれる。

アラブ首長国連邦の地表は地面が乾燥していてカンカン照りの砂漠だった。砂埃なのか、霞みがかっていて遠くが見えない。
ここで初めて、『地球の歩き方 ヨーロッパ』を見ながらイギリスを研究してみる。
ガイドブックに、学生のヨーロッパ一人旅バックパッカー用の指南書はないのだろうか。

空港からの今後に起こりそうな課題の想定と、今後の流れを記録する。
・ヒースロー空港から地下鉄で、オイスターカードを3ドルで買って、ヒースロー駅からピカデリーラインでピカデリーサーカスへ、3.80ポンド
・ブリットレイル4日間を買う?それは北アイルランドでも通じるのか?
・ユーレイルグローバルパスはイギリスでは使えない。では、北アイルランドでバリデーションすれば良いのか?
・初日の宿に行って、泊まれることを確認する
・船の予約と列車の予約の仕方を知る
・郵便局で手紙を出す

イギリス時間6:15になって朝食が運ばれてくる。「オムレツかシリアルか」と聞かれて、シリアルではつまらないのでオムレツを選択する。しまった、同じ航空会社だからオムレツはもう食べたや、と後悔していると、さっきとは違うオムレツが出てきた。良かった。でも、セットになっていたソーセージがパサパサしている。

書き物をしていたのを気にかけてくれていたのか、隣に座っていた外国人のおばあちゃんが食後のトレーを重ねて預かってくれて、机の上にスペースを作ってくれた。

今回の旅の方針を考えて、紙に書き出してみる。2ヵ月の旅行は、本来は1ヵ月の旅を、悠々マイペースで行き当たりばったりで回る旅が2ヵ月になった気分で過ごす旅なので、無理して予定を詰め込もうとは考えていない。多少の損も想定の範囲内だ。
機内にはなぜか『週間朝日』の雑誌があった。日本とは全く関係ない場所なのに、なんだか嬉しい。日本人の利用客が多いのかなぁ。

食後のカプチーノを飲みながら隣のおばあちゃんと会話をする。ヨーロッパを一周することを伝えた。
彼女はアイルランド系のエジプト生まれのオーストラリア人で、イギリスにいる息子に会いに行くそうだ。ここはアラブ首長国連邦発の飛行機だし、グローバル過ぎてどこの人なのかピンとこない。
ここに来て初めてのまともな会話は、シャイボーイながら何とか上手くいった。話していることが分かって、しかも伝わって良かった。まだまだ完璧な英語ではないんだけどねー。

アラブ首長国連邦の上空からの昼の景色は、とにかく茶色かった。下は白濁した泥水のように見えたが、実際には雲に透けた砂漠の色だった。
ここでも睡眠を取る。睡眠7:45→8:45。途中、トルコ辺りの上空で、土色の地上の中にエメラルド色の湖が見えて奇麗だった。

旅の目的を考えた。
これは俺なりの、旅に関する仮説だ。毎日確認して、方向性を心に留めておきたい。
・旅の目的は、自由に考える時間を取って、自分について追求することである。
・自分についての追求とは、自分が何を快感に思っているのか、自分は何を楽しいと思うのか、自分は何を求めているのか、を知ることである。
・自分が満足をしさえすれば、どのようなことをしても良いし、それが満足でないのであれば、帰国することも許される。(それほど自由にできる旅だということ)
・まずは人生について、次にまわりの人々について、そしてその上で自分について考える
・知ること→学ぶこと→考えること→行動すること→記録すること→共有すること→知ること→…のプロセスを繰り返して、より具体的に、より能動的に自分を追究していく
・自分の満足を追求することで、生きがいを感じて、笑顔でいられて、後悔をしなくなるだろう
・ただし、贅沢はしない。贅沢は誰かと行く他の機会にする

今回の旅の目的を自分に問うてみる。
・なぜ旅をするのか?
 →旅によって非日常的な刺激を受けて、帰国後の日常生活の中に、非日常を取り入れていくため
・なぜ一人なのか?
 →一人の方が自由だから。誰にも、何にも縛られずに自分自身に向きあえるから
・なぜヨーロッパなのか?
 →先進国で治安が悪くなさそうで、英語が通じ一人旅をしやすそうな地域だから
・なぜ首都なのか?
 →郊外よりも英語が通じやすそう、移動がしやすそう、生活がしやすそうだから
・なぜ一周するのか?
 →一箇所に留まらずに常に変化を求めていたいから。宿も連泊せずに毎日違うところに移動する
・なぜ計画を立てないのか?
 →行き当たりばったりのその日暮らしをしたいから。その日の自分を優先させるために、2日以上先の予定は立てないつもり
・なぜ2ヵ月間なのか?
 →夏休みとしてとれる最大の期間だから

着陸の1時間前に、出国審査の紙を配られた。『地球の歩き方』を参考に記入を済ませる。初日の宿の記入の欄があったので、初日の宿だけでも予約しておいて助かった。初日は分からないことだらけで不安になるだろうから、宿だけは予約しておいたのだ。
アナウンスによると、ロンドンでは小雨が降っていたらしい。窓からは雲が多く見られた。
空は透き通った水色だ。その合間からは、ドーバー海峡が覗ける。こんなに対岸が離れていては、泳いで渡るなんて難しいっしょ。

隣のおばあちゃんと話しながら着陸する。
雲の通過の瞬間は、視界も悪く揺れて怖かった。
ロンドン時間12:45、ヒースロー空港に着陸。
ロンドンへの到着に、この旅の本当の始まりに、不安から心底は喜べないものの、一応笑顔になって見せる。
いよいよロンドンだ。入国審査だ。

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ABOUT US
弦本 卓也
1987年、埼玉県生まれ。大学卒業後、大手広告会社「リクルート」にて不動産メディア「スーモ」(SUUMO)の運営に従事。新卒で入社して、スーモのメディアづくりを7年、その後にエンジニア組織の組織づくりを4年行う。 また、リクルート社内の部活動制度にて「大家部」を立ち上げ部長を務める。不動産投資に関する情報交換や物件見学のワークショップなどを行う。 入社2年目に新築一戸建ての広告を取り扱う部署に異動したことをきっかけに、「いい企画を作るためには、まずは自分で経験したい」という想いから個人で新築一戸建てを購入。その翌年には売却分野を担当したことをきっかけに売却も経験。マンションの売買なども行い、11年間で11回の引っ越しを経験。 「新しい住まいや暮らしを自ら探究したい」という気持ちで購入した東京都千代田区の神保町の中古ビル「弦本ビル」は、コワーキングスペース、シェアオフィス、シェアハウス、飲食店が入居する複合ビルとなっており、20代を中心とした若手社会人や学生のやりたいことを実現する場所として注目を集めている。3年間で延べ1万人以上の来場者を記録し、家賃年収1,400万円を達成しながら満室経営を続けている。 お金面とビジョン面の両立を大切にしており、モットーは「一人ひとりの可能性をもっと世の中に」。会社員を続ける傍ら、学生時代に起業した会社とあわせて株式会社を3社創業。うち1社は売却し現在は2社を経営している。他にもエンジェル投資家として若手実業家の支援を手がける一面も。 日経新聞や不動産業界紙、書籍や雑誌、テレビなどでも多数の注目を集めておりセミナー講師なども行う。宅地建物取引士を保有。