Categories: プロハ夢手帳

好きを仕事にするために、アートと数字を両立させる。

※この記事は、書籍『プロハ夢手帳』の記事の抜粋です。ご購入は こちら からお願いします。

目次

ヘアメイクと着付け専門のサロンを経営

ヘアセットとヘアメイク、着付けを専門とした美容室を経営しています。美容室は一般的にカットやカラーがメインですが、そうしたカット・カラーをうちでは一切おこなわず、着付けとヘアメイクだけを専門にやっています。結婚式に参列する女性は、ドレスを着てヘアメイクをするのが一般的ですが、うちではこのお手伝いをしています。

現在は、千葉県の店舗を経営しています。着付けでは、浴衣や成人式の振袖、卒業式の袴も行なっています。「女性がピックアップしてからお出かけする」というコンセプトです。月に一回行くのではなく、大事な1日の前に用意する支度をして、キレイにしてから出かける、そうした位置付けです。そのため、専門的なサロンだといえるかもしれません。専門店ならではの、リーズナブルでスピーディーなサービスを実現できていますし、専門的な技術においてもピカイチだと自信を持っています。最近は店舗の経営に加えて、ギフト関係の事業をスタートさせました。ジャイアントフラワーギフトというものを始めたのですが、これはイベントやインテリア、ウエディングの撮影に使う、特殊な紙でできた大きなフラワーアートです。海外では一定の認知度があり、日本でも認知されつつあります。見た目もダイナミックで、かなり見栄えもいいです。また生花とは異なり、紙でできていて保存がきくこともポイントです。

学校が嫌いな子だった

美容については、小学生のときから好きでした。現在につながっていると思うのが、小学生のころから母親のメイクボックスを開けて自分で化粧したりしていたことです。早いうちからピアスを空けてみたり、メイクを研究したり、髪型をいじったりと、自分で何かをやってみることに夢中でした。そのときは仕事になるとは思ってもいませんでしたが、今につながっていると感じています。私は高卒で、大学には進学していません。勉強は好きでしたが、学校は好きではなくて昔から社会不適合者だったと思います。同じ年齢でなぜみんなが同じことをしなくてはいけないのかがわからず、冷めた子供でした。数学や化学も、何のために習っているのかまったく分かりませんでした。

ずっと、集団生活が苦手でした。全員で足並みを揃える意味がわからず、居心地の悪さを感じていました。学校はひとくくりで、ただの集まり。そのなかで飛び抜けてしまうと浮いてしまいます。はみ出すことは好きでしたが、周囲の目がきになると言う葛藤はありました。

結果、その葛藤は学校以外の遊びで解消しました。このときは働くことが好きだったので、バイトで稼いだお金で好きなことをして遊んだり、ものを買ったりすることが楽しみでしたね。

私はこれまで、どこかの会社で社員として働いたことは一度もありません。高校を卒業してからは、アルバイトや水商売をしていました。働き始めてからすぐ、「雇われる身なのだから、雇ってくれている組織に対していかに貢献できるかを常に考えよう」と意識するようになりました。誰に言われるわけでもなく、客商売だったら自分のもらいたい給料の2倍や3倍は売り上げないとダメだと思っていました。誰かに何かを言われてやっていたわけではないです。ただ単に、自分が必要とされたいという気持ちだけですね。いま思い返すと、組織に貢献しないと自分がいる意味がないと考えていたのでしょうね。

アルバイトとして普通に仕事をしているときから働くことは好きだなと思っていました。若いうちにさまざまなバイトをしていると、世の中の裏側や会社の裏側が見えるようになります。「こうしたらもっと仕事が上手くいくのに」、と思ったりしますよね。

昔から経営者になりたかったせいか、その会社だったらどう貢献できるかを常に考えて行動してきました。どうやったら貢献できるか考えて働くことによって、組織の中でも一定の立ち位置を得られるようになりました。一方で、若かったこともあり、組織の中で働いていると、ついつい行動の度が過ぎてしまいぶつかることも多くありました。周りの気持ちがついてこられないくらいのことをして激しく反省することもありました。

しかし、反省はしても、失敗だと思ったことはないですね。嫌なことを言われてもどんなことも成長の機会だととらえるようにしていました。

怒るのではなく、叱る

どうやったら上手くいくか、考えることは好きでした。20歳より前からずっと自分で経営者になりたいと思っていたこともあり、自分は経営者になること以外考えられませんでした。根底には、自分が経営をするんだ、という強い想いがありました。ところが、自分が上手くいくだろうと思っていても、実際やってみないとわからないものです。

22歳のときにバイトで溜めていたお金で独立して、最初から店舗を出しました。起業してからはいくつもの壁に直面しましたが、とくに人を雇うことが一番難しい、と感じています。当時は22歳、年上から見たらまだまだガキ扱いされる年齢でしたが、店舗にスタッフを雇うことになりました。当然、人を雇った経験などもありませんでした。人を動かした経験もなく、最初のうちは、「こうしてほしいのに、何でやってくれないのだろう」と嘆いていました。スタッフに対して感情で怒ることもありましたが、感情をぶつけてもうまくいくどころか悪化していくばかりでした。

しかし次第に、その感情は伝わらないものであることがわかりました。経営者のこうしてほしいという感情だけでは、人は動きません。人を動かすには、自分がまず結果を出して、働く人に対してメリットを見出す。それしか方法がないのだと気づきました。

この場面で、この人はどうしたいのか。すべての物事を客観的に見られるようにならないといけないですね。従業員が起こした行動の結果に対してイライラするのではなくて、問題を解決してあげる。そのために叱ることが必要ならば、はじめて感情をあらわにするのです。そのときも、「怒る」のではなくて「叱る」ことを心がけるようになりました。ミスをした従業員に対して、怒るのではなくて、間違ったことをしたとしても、作業の過程で従業員が考えたことを冷静に受け止め、その上で「次はこうしよう」と言ってあげる。それは怒ることではなく叱ることだと思います。感情をコントロールできず、最初から感情に任せて怒ると、人間関係は絶対にうまくいきません。何回も失敗して、ようやく気づくことができたのだと思います。

経営をしていて目に見えて分かるのは、「数字」です。経営者は最初のうちは、赤字が出たら自分の生活ができなくなるもの。最初は、自分の生活を確保するために、月にどのくらい利益を上げればよいかを考えます。「このくらいの利益を出すために、どう働こうか」、これを後先考えずにがむしゃらにやっていました。確定深刻や決算を見るようになり、ちゃんとした数字の流れがわかり、上手く経営が回っていることを確認する。

目に見える数字が、事業が意外と成り立っていることの証となったとき、「自分のやってきたことは、ちゃんと形になっているんだ」と感動をおぼえました。

小さいことを先に与える

起業するとき、「儲けたい」とか「楽したい」とか、「雇われたくない」から独立するということもあるでしょう。しかし、起業してからは、自分に関わる人たちを幸せにすることが第一。そうでなければ、事業として成り立たなくなります。

例えば事業を展開しようと思っても、目の前のお客さんを笑顔にできていないのであれば、事業展開なんて先の先です。働いているスタッフにメリットを見出してあげないと人もついてこないし、従業員も雇ってくれてありがとうという気持ちになれば、さらに良い仕事をしてくれるはずです。お客様にも適正な価格設定と適正なサービスを提供して、喜んでもらえる。取引先の人もお互いに利益があり、ウィンウィンな取引関係になっている。

人は、心地よい人間関係を求めます。自分のことしか考えていないような人とは自然と距離を置くようになります。気持ちよく仕事ができる人としかつながらないようになるものです。

幸せにするといっても、本当に小さいことからで良いと思います。例えば友達だったら飲み会のときに楽しませようとか、面白いことをひとつ言うだけでも、楽しんでくれるでしょう。別に毎回プレゼントをあげる必要はないのです。家族に対しても、例えばどこかに行く度にお土産を買ってあげるなど、ちょっとした気遣いをする。人はちょっとした気遣いにすごく感動するものです。私は最初に、自分から他人に与えるようにしています。先に与えることによって、見返りを求めなくても気持ち良い関係を築けます。友達とミーティングがあるなら全員分の水を買って差し入れする、などです。それだけでこの人はできる人だなと思われるし、気遣いは良い意味で毒になっていきます。

好きなことにチャレンジする

若いうちは、ぜひ好きなことを仕事にしてほしいと思います。あなたは何が得意ですか?得意なことは何でもいいのです。自分がワクワクするちょっとしたこと、好きなことを大事にしてください。私は自分の経験からも、生まれ持った得意なものは社会に貢献できるために存在していると思っています。やらない後悔よりやった後悔。やりたいと思うことがあるならやってほしいなと思います。みんなチャレンジする前は怖かったり、失敗したらどうしようという恥ずかしい思いがあるでしょう。しかし、失敗してもゼロのまま、何もなかっただけで、マイナスにはならないと考えてください。

私もたくさん失敗してきたので、わかります。最初10やって1成功すれば良いと思っていましたが、10やって1成功すればいい精神で行動していると、いつしか5やって3当たるぐらいにはなるのですよ。人が成功するのには、ある程度の経験や情報が大事。失敗を恐れないで、経験と情報を積み重ねていくと変化がおきます。

数字とアートの両面を考える

ただし好きなことを仕事にすることは、難しいことです。ものづくりでもサービス業でもなんでも一緒だと思います。好きなことを仕事にしていると、アーティストとしての自分と、経営者としての自分との葛藤が生まれてきます。「自分の作品で世の中を変えたい」など、どんなに素晴らしいミッションが根底にあったとしても、それが数字(売り上げ)として出てこなければ、事業として本末転倒です。

好きなことを仕事にするためには、数字とアートをリンクさせないといけません。例えば自分の絵を多くの人に見てもらいたいといって、無料で見てもらおうとするのはアーティストかもしれません。これはアートの部分だけを重視してお金を取らないというやり方ですね。しかし経営者としてはそれではダメ。どうやって収益化して数字として結果を出すか。バランスが取れていなければ事業として説得力もないし、人もついてきません。アートの部分ばかりを追い求め、数字の部分をおろそかにしていては、最初はよくても次第に経営が続かなくなり、結果的にやめてしまいます。長い目で見れば、数字を追うことがアートを続けるために必要なのです。ただし、だからといって数字ばかりになると、今度はお客様に対しておろそかになってしまいます。このバランスはとても大事です。

長所を伸ばしていく

私自身、長所を仕事にしたと自信を持って言えます。小さい頃から、絵を描くのが好きでした。他にも表現することや想像すること、物を作ることや美意識を駆使することが得意です。おそらく仕事では、自分の本質=得意なものという柱がしっかりしていればうまくいくと思っています。ヘアメイクの場合でいえば、自分が接客するとき、目の前のお客さんの魅力を引き出すわけです。自分の魅力を知らないで来たお客さんに対しても可能性を見出して、ヘアとメイクをしてあげたいと考えています。自分はこんなに変わるんだ、と感動してもらえると嬉しいじゃないですか。女性はいくら興味がないと口で言っていても、絶対にメイクが好きなものです。どんなに興味がない人でも、変わると喜びます。お客さんが喜んでくれたとき、自分の指名を果たせていると感じます。経営でマーケティングをするのもよいですが、究極的にはお客さんを笑顔にしてあげることが自分にできることだと堂々思います。

ものづくりは、やっていることが職人的ですよね。自分もそうかもしれませんが、職人タイプの人は基本的に営業が得意ではありません。職人さんは自分の技術がよければ高く売れると勘違いしているときがありますが、いまは技術があればいいという時代ではありません。現代では、技術や景品・サービスがいいのは当たり前です。私は作ったものを売らないと、作っているうちに入らないと考えています。作ったまま放置してしまうのも職人ですが、作品をどうやって多くの人に見てもらうか、どう思いを伝えるかも考えて、実践していかなくてはいけません。形に組み立てていく作業は、右脳と左脳の葛藤です。職人の発送やクリエイターのひらめきは、右脳をよく使います。一方左脳は、マーケティングや経営戦略など真逆のロジックで動きます。たいてい、どちらかの脳しか使っていない人がほとんどです。男性は一般的にガツガツやっていく左脳タイプが多いですよね。女性はものづくりが得意な右脳タイプが比較的多いです。どちらかしか使えていない人は、その片方を極めるほうがいいかもしれません。社会人では、通信機でいう普通評定の「3」はあまり必要とされません。平均的なことよりも、一つ飛び抜けた面が必要とされるためです。他が評定1でも、得意な面をとことん磨いてそれだけは評定5にすればいいと思います。苦手な面は得意な人と組んで、お互い得意面を補い合って仕事すればよいのですから。0から1をつくる右脳タイプの人は、その1を100に広げられる左脳タイプの人を羨ましいと感じると思います。逆に広めてお金にしていく能力がある人は、クリエイティブのできる人が羨ましいと思うかもしれません。お互いを羨ましく思うことはあるでしょうが、苦手なことを無理してやらず、積極的に人に頼る。そのほうがうまくいくことを、忘れないようにしてください。

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弦本 卓也

1987年、埼玉県生まれ。大学卒業後、大手広告会社「リクルート」にて不動産メディア「スーモ」(SUUMO)の運営に従事。新卒で入社して、スーモのメディアづくりを7年、その後にエンジニア組織の組織づくりを4年行う。 また、リクルート社内の部活動制度にて「大家部」を立ち上げ部長を務める。不動産投資に関する情報交換や物件見学のワークショップなどを行う。 入社2年目に新築一戸建ての広告を取り扱う部署に異動したことをきっかけに、「いい企画を作るためには、まずは自分で経験したい」という想いから個人で新築一戸建てを購入。その翌年には売却分野を担当したことをきっかけに売却も経験。マンションの売買なども行い、11年間で11回の引っ越しを経験。 「新しい住まいや暮らしを自ら探究したい」という気持ちで購入した東京都千代田区の神保町の中古ビル「弦本ビル」は、コワーキングスペース、シェアオフィス、シェアハウス、飲食店が入居する複合ビルとなっており、20代を中心とした若手社会人や学生のやりたいことを実現する場所として注目を集めている。3年間で延べ1万人以上の来場者を記録し、家賃年収1,400万円を達成しながら満室経営を続けている。 お金面とビジョン面の両立を大切にしており、モットーは「一人ひとりの可能性をもっと世の中に」。会社員を続ける傍ら、学生時代に起業した会社とあわせて株式会社を3社創業。うち1社は売却し現在は2社を経営している。他にもエンジェル投資家として若手実業家の支援を手がける一面も。 日経新聞や不動産業界紙、書籍や雑誌、テレビなどでも多数の注目を集めておりセミナー講師なども行う。宅地建物取引士を保有。

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