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※この記事は、書籍『プロハ夢手帳』の記事の抜粋です。ご購入は こちら からお願いします。

目次

建設業のプラットフォームをめざして

現在、株式会社CONCORE’Sの代表として、ソフトウェア会社を経営しています。事業内容のメインはいわゆるゼネコン。マンションやビル、ダムや橋を含めた建築土木をつくる会社をターゲットにしたソフトウェア開発をしています。

最近だと「コンストラクションテック」というかたちで盛り上がっていますが、建築の現場で使うアプリケーションを作成しています。

建物を建てる過程では、現場でさまざまなデータが発生します。例えば天井を作ったら天井を、床を施工したら床の写真を撮影します。これは最後、クライアントへの報告書の提出や、途中の修正指示をするような業務でのコミュニケーションであるため、どうしても発生する作業です。ところが、この作業は手間がかかりやすく、現場の負担が大きい。そこで、手間をかけて作業している部分を楽にするアプリを作っています。写真の整理や資料の作成はどれほどがんばっても本質的な仕事ではなく、建築自体がよくなるわけではありません。大切な時間を残業に取られて本来の仕事ができない状態が続いています。国立競技場の建設も、多すぎる残業時間の問題で、自殺者が出てしまいました。建築業界は慢性的に残業時間が多く、その時間を少しでも減らすためにやっても意味のない仕事をゼロにできたら、と思っています。

会社ができて1年くらいものづくりをし、このプロダクトをリリースしてからは2ヶ月弱というところですが、建築業の至上命題となっている生産性向上やデータがきちんと残っていないことへの危機感を抱いている企業、東証一部に上場している大手企業も導入してくださっています。

また、建設は工数という感覚があるので、単純に1時間単価に換算し、人を雇えば1時間五千円かかるところを、このサービスを入れることで1時間でも楽になる、という考え方で導入されることもあります。年単位の契約ですが、基本的に試行してから入ってもらっているので、導入いただいた方は気に入ってくださっています。

大手企業などにも導入いただいていますが、プロダクトの完成度としてはまだまだ、3パーセントくらいです。現在は写真しか扱っていませんが、建設業は他にも業務があるので、そこも視野に入れると全然足りません。もともと「建設業のプラットフォームになりたい」と思ってやっているので、道のりは果てしなく長いと思っています。

効率よくつくることに興味を持つ

出身は群馬で、学生時代は建築学科で大学院まで出ました。ITがもともと好きで、小さいころからウェブサイトを作っていました。ITのデバイスやガジェットなど、技術的なことが好きでした。大学でITを習わなくても自分でやればできる、となんとなくわかっていたので、反対に「体系的に学ばないと、自分ひとりでは絶対にできないものはなんだろう」と考えました。理系に行きたくて。理系の中で一番女子が多いところが建築か応用化学。僕は化学が嫌いだったので、消去法で「建築かな?」という感じで選んだので、それほど深い意味はありません。

大学1、2年生時は埼玉で、3、4年生時は東京で生活していました。院まで行ったのは、もうちょっと遊びたいなと思ったからでもありますが、大学3年生の頃に建設ITの分野に出会ったことがきっかけです。

大学に入っても、じつはあまり建築に興味が持てなかったのです。正直、今もあまり建築デザインや建物のような建築自体には興味はないです。ただ「いかに効率よく作るか」ということに対しては面白いなと思いました。そのあと、建設IT分野の研究があると知ったので。やってみようと思い、研究室に入りました。ただ進学に関しては、もう少し大学院生をしたいという思いもありましたし、特に深い意味はありません。

大学院では「コンピューター上で建築をバーチャルで作る」というレアな研究をしていました。これもデザイン寄りではなく「どう効率よく建てるか」という実務寄り。当時の業界ではこれがブームでしたが、人材もいなければ、わかる人間も建設業界にすらいない時代で就職活動はしやすかったです。

趣味でつくっていたものが、動き出す

2013年に竹中工務店に入社し、最初はヘルメットをかぶって現場監督をしていました。総合職と専任職があり、入社時に職種が分かれます。建築学科卒業の採用は珍しいのですが、僕はIT職で入りました。

IT職といっても、誰でも最初は関係なく現場に行かされます。職人さんにどやされながら一つの建物を作っていく全過程を経験しました。京都駅前のホテルなどを作りましたね。

そこから現場を半年ほど経験し、あとは設計や他の実務なども回りながら1年が経ち、そこからIT職に入りました。意見を聞きに現場に行く機会も多かったです。入社して、仕事はきついな、という思いはありましたが、つまらないとか辞めたいとかはありませんでした。もともと、入社するときから5年ほど勤めて、会社の仕事を大体理解したら次に移ろうと思っていました。大企業とか小さい起業とか関係なく面白そうなところに行きたいな、と。

結局3年くらいしかいなかったのですが、もともとは趣味で今のプロダクトを作っていました。たまたま投資家や他のベンチャー起業の社長と話す機会など、タイミングが重なり、法人化することになりました。

最初に作っていたころは、まともに動くものでもなく、誰に使ってもらうということもありません。ただ自分で作っていただけの状態でした。

当時、週末に通っていたプログラミングの専門学校で、IT企業や投資家を集めてピッチするデモデーがありました。僕は反響があってもなくてもどちらでもよかったのですが、その学校の卒業の過程ででなければいけなくなりました。その発表で様々な反応があり、投資家の方をはじめ様々な人に声をかけていただきました。面白いからやろう、と言ってくれる方が何名かいたおかげで、形にすることができたというわけです。

とりわけ珍しいことといえば、起業を決める前から資金調達が完了していたということでしょうか。創業から8ヶ月ほどは二人でやっていました。もともとの仕事仲間で外注先の人間だったのですが、趣味のときから一緒にしていて、資金調達ができたので二人で起業しました。

企業は手段、社長は役割

起業はただの手段だと思っているので、やりたいことがあるなら別の会社でもいいと思います。僕は別に社長をすることにこだわっていないので、ここから事業を進めていくにあたって自分よりも社長にふさわしい人がいるなら交代することも考えています。

社長は「役割」だと思っています。社長といっても、なんでもしなければいけません。僕のもくては、今のプロダクトを作り、建設業をスマートにして、建設業界の未来に貢献すること。社長でいることが目的ではありません。

おそらく世の中のスタートアップの社長は自分が社長になりたいという人が圧倒的に多いと思います。それは否定しませんし、成功している人はたくさんいるのでいいと思います。僕もIT系がメインになりますが、かっこいいと思う起業家はいます。

起業してからは、何が課題かわからないことが課題でした。何をしたらいいのか、プロダクトの作り方も、リリースの作り方も、人の採用の仕方もわからない。課題を感じるというより、やっていくたびにしなければならないことや、修正することは出てきますが、ゼロベースでやったときの課題が見つからず何かわからないことが課題でした。

今のノウハウを持ってもう一度ゼロからやるならば、2倍の速度でできると思います。現在は計画通りにきているので、大きなつまずきはきっとこれからですね。

最良の人材を揃えて、いいものを作る

スタートしたころは共同創業者と学生の友人がいましたが、これ以降は求人広告を求人サイトに出したり、採用エージェントを使ったりと、普通の採用を行なってきました。社員は2017年10月現在で7名になります。

このうち6名はエンジニアで、ものづくりができる人を揃えています。やっぱり、いいものを作らないといけないので、開発に直接関わるエンジニアについては積極的に採用しています。アプリケーションの世界は、いいものを作ったからといって売れるものではないですが、もともと「いいものを作る」ことが大前提にあるので、そこはプロダクトを強化するために開発体制をしっかり作っていきたいと思っています。そこで、今のメンバーに加え、年内にエンジニア3名とビジネスを2名ほど採用し、十二人まで増やす予定にしています。社員には入社前、入社時にビジョンや企画書を見せて理解・共感してもらい、そこから先の開発は実務。TODO管理をしてプロダクトを作っていきます。

現在は、僕が一人で営業を回っているのですが、正直にいうと営業はあまりしたくないです。営業が得意なら事業も進むとは思いますが、ものづくりが好きなので、今後もものづくり中心でいきたいですね。

海外の尊敬する起業家でも、例えばスティーブジョブズにはそんなに憧れないけど、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグには憧れます。なぜなら彼は自分でプロダクトを作って、今もプロダクトにフォーカスしているからです。どちらかというと技術者よりのほうが憧れますね。

1ピクセルにまでこだわる

ものづくりにおいて大切にしているのは、1ピクセルにまでこだわることです。弊社では、説明の文言の書き方もこだわって作っています。プロダクト上に出てくる文字に2時間悩むこともあれば、「の」を入れたほうがいいのではないかというレベルでこだわっています。

あとは、あまり目先の利益にとらわれないようにしています。弊社は広告を全く打っていません。おそらく、打てば伸びるかもしれませんが、ユーザーが伸びるとプロダクト開発が止まる可能性もあるので、バランスを見ながらやっています。目先の大きな利益に行かなくても、長期勝負でしっかりいいものを作って伸ばしていきたいと思っています。

メディア露出は売り上げに直結しない

よく他の起業家の方も言っていますが、メディアやピッチコンテストに出ても、売り上げが上がるわけではありません。僕なんかより、目立っている会社はたくさんありますが、彼らも、外ではイケイケに見えるけれど、実情は全然売り上げもあがらず、苦しい月がずっと続く。そのギャップは感じるかなと思います。そのギャップが逆に苦しいですよね。

もちろん、メディアに出て売り上げを伸ばしている会社も多いですが、メディアに出るメリットは採用やブランディングなどで、出ないよりは出る方がいいと思います。売り上げは直結しないけれど、着々とジャブのように効いてくると思います。一方で、メディアに出ていないスタートアップの企業のほうがいいところはたくさんあります。

考えることはタダでできる

僕は先のことを考えるのがあまり好きな方ではありません。よく、何年後のキャリアを考えてそこから逆算しよう、という考え方があると思いますが、どちらかというとそれよりも、自分が面白いことができればいいと思うタイプです。

僕のところにもよく起業したいという人がきます。この間もメガバンクに勤めている23歳くらいの子がやってきました。僕はその子に、「起業したいならば、500個アイディアを考えて投資家へ持っていけばいいじゃないか」という話をしました。当然、その子は「軸がないから500個も思いつかないかもしれないです」、と答えました。しかし、これくらいでギブアップしてはいけません。起業したいならアイデアを考えなければいけないし、仲間も集めなければいけない。アイデア出しはタダでもできることなので、どんどん考えてやってみたらいいと思います。

作りたいなら作ればいいし、技術が足りないなら技術を学べばいい。逆に10年後になっていたい姿から逆算してやるということはしていません。当然、事業やプロダクトにおいては、5年後・10年後の理想の形を逆算してプロダクトを作っていますが、個人のキャリアはあまり考えていないですね。

やりたいことも、やっていることも。いま作っているプロダクトも、起業したいから作ったわけではなく、面白くやっていたこと。

いい意味で、あまり先を考えずにやってみたらよいのではないでしょうか。

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文章を読んで、思いついたことを自由に書き込み、「自分だったら何ができるか?」、「自分だったらどう考えるか?」をまとめながら読み進めることができます。

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『プロハ夢手帳』の出版の経緯

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ABOUT US
弦本 卓也
1987年、埼玉県生まれ。大学卒業後、大手広告会社「リクルート」にて不動産メディア「スーモ」(SUUMO)の運営に従事。新卒で入社して、スーモのメディアづくりを7年、その後にエンジニア組織の組織づくりを4年行う。 また、リクルート社内の部活動制度にて「大家部」を立ち上げ部長を務める。不動産投資に関する情報交換や物件見学のワークショップなどを行う。 入社2年目に新築一戸建ての広告を取り扱う部署に異動したことをきっかけに、「いい企画を作るためには、まずは自分で経験したい」という想いから個人で新築一戸建てを購入。その翌年には売却分野を担当したことをきっかけに売却も経験。マンションの売買なども行い、11年間で11回の引っ越しを経験。 「新しい住まいや暮らしを自ら探究したい」という気持ちで購入した東京都千代田区の神保町の中古ビル「弦本ビル」は、コワーキングスペース、シェアオフィス、シェアハウス、飲食店が入居する複合ビルとなっており、20代を中心とした若手社会人や学生のやりたいことを実現する場所として注目を集めている。3年間で延べ1万人以上の来場者を記録し、家賃年収1,400万円を達成しながら満室経営を続けている。 お金面とビジョン面の両立を大切にしており、モットーは「一人ひとりの可能性をもっと世の中に」。会社員を続ける傍ら、学生時代に起業した会社とあわせて株式会社を3社創業。うち1社は売却し現在は2社を経営している。他にもエンジェル投資家として若手実業家の支援を手がける一面も。 日経新聞や不動産業界紙、書籍や雑誌、テレビなどでも多数の注目を集めておりセミナー講師なども行う。宅地建物取引士を保有。