※この記事は、書籍『プロハ夢手帳』の記事の抜粋です。ご購入は こちら からお願いします。
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広島県出身で、今は東京を拠点にアーティスト活動をしています。2017年の4月に東京に来ましたが、それまでは関西を中心に8年ほど活動をしてきました。現在はシンガーソングライターとして活動しています。ライブ公園を中心に、歌を歌ったり、ギターの弾き語りをしたり、もちろん作詞や作曲も行なっています。自分で歌を作って、歌う人というとわかりやすいと思います。
基本的には一人での活動が多いです。広島にいた14歳の頃からですから、すでに人生の半分は音楽活動をしていることになりますね。高校生くらいの頃にはストリートライブなどもしていました。ただ住んでいた場所が田舎で、人があまりいなかったこともあって、歌を聴いてくれる人はほぼいない状態でした。バンド活動をしていたこともありますが、バンドが解散してしまった場合そこで音楽活動ができなくなることを避けるため、最初から一人で弾き語りをする現在の形に落ち着きました。たまにサポートでバンドをいれたり、書家やダンサーさんなど他のアート系の方たちと一緒にライブアートのようなこともしています。あとはCMソングやテーマソングを作ったりもしています。東京の新橋にある立ち飲み屋で、僕の作った歌のCMを使っていただけています。こちらはチェーン店で関西にもお店があります。他には大阪の道頓堀にある女性向けのカプセルホテルのCMソングも作りました。
また少し別の活動だと、海外に歌を歌いに行ったりもしています。この活動は僕一人だけではなく、ファンの方達と一緒にツアーを組んでカンボジアの孤児院を回るなど、プロジェクト方式で開催しています。それとは別の社会活動として、発達障害を持った子供たちや不登校の子供達の支援も行なっています。このように様々な活動をしていますが、もちろん軸としては音楽が第一です。
僕の「生きることについての軸」の話になりますが、僕自身、中学生の頃に不登校だった時期があって、その原因はいじめでした。その時は生きる希望を見失っていて、中学校を転校したりもしましたが、そもそも人と関わること自体が怖くなっていました。そんな時、音楽の授業中にたまたま目の前にあったギターを弾いてみたところ、初めて周りにみんなが集まってきてくれて、その出来事をきっかけにだんだんと自分の人生が変わっていきました。バンドをしたり、ギターについて話したり、周りの人たちから愛をもらえたことで、僕自身が初めて自分自身を認められるようになったのです。
この経験があるからこそ僕は、孤独を抱えている人や何かに挫折しそうな人が少しでも希望を見出せるような、そんな生き方をしたいと思い続けてきました。この思いが僕の「生きることについての軸」になっています。
プロのミュージシャンになりたいという思いは、広島で一人ストリートミュージシャンをしていた頃からずっと持ち続けていました。しかしミュージシャンという職業柄、親や周りの人の反対もありましたから、みんなにいいねと言ってもらえるような仕事はどんなものかと考えていました「自分の好きな音楽を仕事にしていくためには、どうしたらいいのか」、この大きな問いを持って、学生時代を過ごしていました。通常、ミュージシャンになるには、CDをつくってレコード会社に持ち込むのが一般的です。しかし、僕はそうしたやり方をせず、大学3年生の時に起業家の元で経営を学ぶことにしました。なぜなら、メジャーデビューができたとしても、自分で音楽を作って売るという能力を身につけておかなければ、本当の意味でプロとして何十年も活動を継続していくことはできないと考えていたからです。自分に必要だったのは、CDの持ち込みよりも先に経営を学び、独り立ちすることでした。塾を経営している方でしたが、そこで教育系の学生団体を立ち上げて様々なことを教わりながら、代表として塾とその他の教育関係の運営をしていました。音楽とは別の分野ではありましたが、そこにいる間も自分の好きなことを仕事にするために何をすべきかと考え続けていました。また別の範囲でいうと、国際交流の団体を立ち上げ、関西の留学生を300人ほど集めて交流会をしたり、京都にある施設を使って千人規模の地域フェスを開いたりするなど、イベンターのような活動もしていました。こう考えると仕事面でもわりと幅広くやってきた感じはしますね。
僕は短大に通っていたのですが、三重県の短大に2年、そこから編入をして3年生のときに京都の大学に移りました。ですから、もともといた広島や京都などの関西地方、あとは名古屋などの東海地方にいた期間を経て、東京にいるといった感じです。結果的に幅広く働いてきたぶん、それぞれの場所で培ってきた人脈は、僕の中でかなり大きな支えになっている気がします。
軸があるからこそ音楽をやりたいと思い、今まで活動をしてきましたが、一方で音楽で食べていくことが難しいこともわかってきました。そこで「自分のコンセプトに近い手段で、これから食べていくにはどうすればいいか」と考えたときに出会ったのが、不登校の子ども向けのカウンセラーという仕事です。大学を卒業してから一時期、京都で不登校の子供たち向けのカウンセラーとして働くことになりました。親御さんと子供とカウンセラーの三者でタッグを組みながら、子供のカウンセリングとコーチングをしていくかたちです。
カウンセリングでは、その子がどうなりたいかというビジョンに対して、どんな行動をしていけばいいかを一緒に考えてプランを立てていきます。学校の先生や家庭教師に少し似ているかもしれませんね。また親御さんとも今後の子育てについて一緒に考えていきます。
カウンセラーですから、悩みを聞いたりもしますが、子供と遊んで仲良くなったり、心理テストを行なって、その子の心の中のどの部分を改善するのかを診たりもします。その結果を診て、どうバランスをとっていくかを一緒に考えていきます
学校にいけるようになることをゴールとしてカウンセリングを行なっていました。このカウンセラーの仕事はそこまで長く続けていたわけではなく、辞めてからはアルバイトもしました。僕は「人」にすごくフォーカスしていて、教育系の仕事をしていると子供たちだけではなく大学生や大人とも関わっていくことになります。そこで自分が学べることを音楽にも活かしていきたいと常に考えています。不登校や発達障害を抱える子供たち、カンボジアの子供たちに対しては、共感できることや理解できることがたくさんある気がしています。
僕も似たような経験があるからか、雰囲気や空気に敏感というか、言葉にしなくてもなんとなく相手の気持ちがわかる時があるんです。だからこそ、僕の音楽ができることはたくさんあると思っています。
僕の先輩に、1500人規模のライブを主催し、全国を回っている先輩がいます。音楽一本で家族も養っている人です。音楽で食べていくにはどうすればいいかがわからなかった僕は、ある時その先輩に相談してみることにしました。
すると先輩は「今まで何十人とその質問をされてきたけれど、正直みんな無理だと思った。でもお前ならできると思うんだ」と言ってくれました。バイトを辞め、覚悟を決めてやってみろと先輩に後押しされたのも自信になって、僕は全ての仕事やバイトを辞めました。僕自身もずっとバイトをしていたものの「なんで俺バイトしてるのかな」と心のどこかにずっと違和感を抱えていました。それがだんだん強くなって、しんどくなって、「音楽がやりたい」という想いが日に日に強くなっていきました。半年間ほどずっとバイト生活をしていましたが、それにも限界がきた時に先輩に会いに行ったわけです。アルバイトを辞めてからまず始めたことが、「居酒屋ライブ」です。飲食店の店内にスタンバイしておき、お客さんからのリクエストを聞いてその場で演奏して歌う仕事です。先ほどお話した、僕がCMソングを提供している立ち飲み屋さんでのことです。最初は週1でやっていましたが、これがすごく大変でした。お客さんの幅広いリクエストに応えられるように、昔の歌をかなり勉強しました。100曲以上は歌えるようになったと思います。流しのお給料は、チップと自分のCDを買ってもらうことです。もちろんお店からのお給料は出ませんし、お店にいくまでの交通費も出ない状態です。最初の頃は自分のCDも用意していませんでしたので、稼ぎはチップのみでした。そうなると1日いても1000円とか、交通費しか稼げない日もありました。
正直お金を稼ぐだけならもっと楽な仕事はいくらでもあると思います。でも僕は音楽で食べていくと決めていましたから、どれだけ大変でも絶対にやってやるという覚悟は持っていました。自分でもこの時期は苦労したなと思います。
ただこれは挫折とは少し違うと思っていて、もちろん大変なことはたくさんありましたが、どんなことも、将来のなりたいビジョンにつながっていれば、意味が変わってくると思うのです。僕は何があっても自分が成功するまで何度もチャレンジしますし、やりきります。ですから何かあった時に、それを挫折と思うかどうかは自分次第といった感じですね。
ひとつエピソードをお話すると、僕は昨年手売りチケットのみで350人以上の人を全国から集めて、京都でワンマンライブをしました。サポートバンドを作ったり、他にもライブで必要な全てのプロデュースを僕が手がけました。僕一人ですから、細かい事務作業や物販のプロデュースなども全て自分で行ないます。全部で200万円くらいかけましたね。最初は350枚のチケットを販売予定でしたが、追加も出てきて結果は370枚を超えるチケットが売れました。実はこのワンマンライブを開催したのは理由があります。僕のファンの中に漫画家を目指す不登校の女の子がいるんです。漫画家になりたいという夢はあるものの「自分に自信がないからできない」と言っている子でした。ある日、女の子との会話の中でそれを聞いて「俺も挑戦してみるから、一緒に頑張ってみようよ」という話になったのです。僕の背中を見て、彼女にも頑張ってほしかったんです。そこで、前年は100名規模だったワンマンライブを一気に350名規模まで拡大して、チケットは手売り、バンドなども全て自分一人でプロデュース、さらにレコーディングもするという大きな目標にチャレンジすることにしました。僕の挑戦を見た彼女は少しずつ考え方も変わってきたようで、何より彼女が描く絵が変わってきたことはすごく嬉しかったですね。
僕の決めているマイルールは2つあります。1つ目は「自分が楽しいことしかしない」です。なぜかというと「誰かを幸せにしたいなら、まずは自分が幸せであるべき」と考えているからです。人間は一人一人「愛のバケツ」を持っていると考えています。そのバケツが満たされていたり、溢れていたりすることが良い状態で、そうなるためにはまず自分が自分自身を大切にしてあげなくてはなりません。自分自身は一生付き合っていく人ですし、僕たちは幸せになるために生きています。
もう一つ、「誰かの尺度で物事を考える」ということをやめました。全ての基準を、自分自身にしたのです。僕を応援してもらえるだけでももちろんすごく嬉しいのですが、「川野さんに元気をもらえたので、私も後で頑張ります」という感じで思ってもらえたら、もっと嬉しいですね。
大事なのは、誰かからエネルギーとか何かを受け取ったうえで、次に自分が何をクリエーションしていくかだと思うのです。この本もそうですが、読んだだけで何かをやった気になるのではなく、その次に自分がどう動くかが大事だと思います。
これは先ほどお話ししたマイルールにもつながるかもしれませんが、「誰かの価値観で生きるのではなく、自分の価値観で生きてほしい」です。
普段生活しているなかでも、これをしたらダメだとか、こんな自分ではダメだとか、そう思うことってたくさんあると思います。でもそこで僕は、あえて常識外れなところに飛び込んだりします。これは自分の枠を超えたいと思っているのもありますが、自分自身でダメだなと思っていることって意外と周りから受け入れられたりするものなんですよね。例えば少し昔の発送なら、シェアハウスで知らない人と暮らすことって、なかなか受け入れられないイメージがあったと思うんです。でも今の時代はたくさんのシェアハウスがありますよね。このように、時代が変わると、同時に物事の捉え方も変わっていくことが多いように思います。
もちろん良い悪いはその人次第ですが、周りの人たちが「ちょっとそれはどうなの」というようなことでも、時が過ぎれば当たり前になることって多いと思います。自分が本当にやりたいことであれば、自分を基準にしてあえてやってみる。それこそが大事だと思っています。
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