今年は、年始に新しい書籍の出版のオファーをいただき、キャリアに関する本の企画を進めていたのですが、偶然にも類書として読んでいた『新しいキャリアの見つけ方』の監修をされている田中研之輔教授のゼミの学生さんと出会い、法政大学のキャリアデザイン学部の授業にて、講義をさせていただくこととなりました。
先生の最近の著書はこちらです。
講義では「複数の経験からキャリアを築く」と題して、4限では30名ほどの学生さんの前で、5限では50名ほどの学生さんの前でお話をさせていただきました。
発表では一部、田中研之輔先生とパネルディスカッションのような形式でお話をさせていただき、学生さんからはたくさんの質問が出ました。
最後はアンケートの代わりに「今日の話を聞いて、次におこないたいアクション」をスプレッドシートに記入して出欠確認となりました。
アンケートでは、感想ではなく行動を書くというのが、次に繋がるよい方法だと思いました。学生のみなさんからも、前向きなコメントが多く集まり驚きました。
5限の授業では、ゼミの上級生の運営のもと、SPIのような問題をチームで解いたり、就職活動でおこなうようなグループワークをしたり、最後には英語の論文を読む時間もありました。
「キャリアストーリー」などの団体でも似たような活動をされているとのことで、今後もなんらかのかたちで関われればと思います!
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弦本:今日は、複数の経験からキャリアを築くということで、企業で働きながら、副業や起業をつうじて自分らしいキャリアを実現した話ということで、弦本からお話しさせていただきます。
先生:めちゃめちゃ、みんな興味あると思います。このテーマ。
弦本:今日のお話のきっかけですが、「本を出版しませんか?」という話を出版社さんにいただいてて、キャリアに関する本を書きたいなと思っていたことにありました。タイトルは『自分らしく働きたい人のための副業/起業のプロセスノート』みたいなコンセプトで、いま準備をしているところです。
弦本:そんななかで、実際にキャリアのワークショップを開催したり、キャリアに関する勉強をしたいと思っていて、結構色んな本を読んで勉強していたりしました。
そういうので、まさに「この本が良かった」という話をしたら「それ、うちの先生の本です」という話になって、ぜひ遊びに行きたいとお話して、今日来させていただきました。
先生:嬉しい。そうだったんですね。
弦本:はい、こうして今日の機会をいただきました。
今日話す内容については、事前に「複数の経験からキャリアを築くこと」と「企業で働きながら副業とか企業した話」、それから「キャリア形成について必要なこと」を話してくださいということでしたので、その流れにそってお話させていただきます。
あらためてよろしくお願いします。
弦本:聞いてばかりだと面白くないかなと思ったので、質問タイムを取りながら話せればと思っています。
最初に私の自己紹介と、そのあとに副業や起業のメリット、最後に一言みたいな感じでお話させていただきます。
まずは企業で働きながら、副業や起業した話ですが、僕はいまもリクルートで働いてまして、今日も有給を取ってきています。
弦本:新卒で入社して今年は12年目で、SUUMOでもともとメディアの企画や開発のディレクションなどをしていて、いまは組織開発として、エンジニアが大体1,000人ほどいる組織の、組織組織活性などをしています。たまに面接官をすることがあるので、もしかしたらどこかでまたお会いするかもしれないですね。
あとは副業や起業ということで、色々な専門学生さんたちの「可能性を活かす選択肢を提供する」みたいな活動をしています。それ以外には、自分の名前をつけていて恐縮なのですが、7年ほど前にビルを買って、そこではシェアハウスだったりイベントスペースだったりがあるんですが、不動産経営というか、ビルオーナーをしております。
本はこちらですね。今日は先生の本と壇上に並べていただいて恐縮なのですが、いくつか書籍を出版していたりします。
今日は「企業で働きながら副業や起業をした話」という内容なのですが、少しその前に、おそらく学生のみなさんは働きはじめるまでのイメージが湧きづらいところもあるかもしれないので、企業に就職するまでの話を最初にさせていただきます。
田中先生が監修されてた本に、ライフラインチャートがおすすめと書かれてたので、僕も書いてみました。
先生:おおすごい。
弦本:こんな感じで、小さい頃からいままでの人生を書いてみたのですが、少し細かく見ていきます。
最初に産まれたところからですが、僕は1987年4月2日に生まれました。1987年は「ゆとり世代」がはじまったといわれる年で、4月2日は学年で1番誕生日が早いので、僕は「ゆとり第1号」として産まれました。
家は裕福ではないですが一般的な家庭で、教育熱心な家庭でした。小学校の頃は結構、クラスのだれとでも分け隔てなく仲良くしていて、普通に男女気にせず遊んでいたりとか、クラスであんまり人気でない子とも普通に仲良く遊ぶ、みたいな感じの性格でした。冗談ばかりで落ち着きがなくて、よく怒られていました。勉強とか運動はそれなりにできる、みたいな感じでした。
中学時代はそのまま地元の公立の中学校に上がったのですが、結構荒れたクラスだったので、少人数で過ごしていたり、僕も少し深夜に遊んでいたり、中学生なので悪いことといってもたかが知れているんですが、自転車で走り回ったりしていました。それでも親に怒られたりはしなくて、自由でいさせてもらっている分、その分、勉強も頑張ろうと思って、勉強も頑張ったりしていました。
高校は、少し遠くの私立に行ったのですが「東大進学クラス」みたいな、「クラス全員で東大に行くぜ」みたいなクラスに入って、そこで落ちこぼれになりました。独自の勉強方法にはまったりもしたのですが、大学受験に失敗して、じつは1回大学に行ったのですが、すぐに自主退学して浪人するということをしていました。
先生:何日目ぐらいに?
弦本:最初のオリエンテーションを聞いて、このまま溶け込むよりももう一年勝負したいなと思って出したんで、4日目ぐらいですね。4月の。
先生:入学金とか前期の授業料を払って?
弦本:授業料は、一応特待生で免除はされていました。
先生:入学金は払ったわけね。
弦本:そうですね。それでもすぐに退学しました。
先生:1年は行って、どっかを受けなおす「仮面浪人」はいらっしゃるけど、自主退学は珍しいね。
弦本:そうですね。でも、浪人をしてもまた翌年も大学受験に失敗しまして、また同じ大学の同じ学部、同じ学科に入りなおすということをしました。
先生:うそでしょ(笑)
弦本:本当です(笑)
なので、大学時代は勉強以外も頑張ろうと思って、気持ちを切り替えて、塾の先生とかのアルバイトをしたり、サッカーサークルの幹事長をやったりしました。あとは、最近はコロナで行けないかもしれないのですが、海外に行くのが好きになり、アルバイトでお金を貯めて、そのお金で海外旅行をしたり、ひとり旅をしたりしました。
弦本:ちなみにみなさんが興味がありそうなので、就職活動をしていたときの話も持ってきました。僕の就活の軸としては、大きくふたつで、ひとつは「選択肢を絞らずに広く学んで成長したい」と思っていました。もうひとつは、大学で情報系の学科を選考していたので、「ITを使って少しでも多くの人に、少しでも貢献したい」というのを軸に考えてました。
就活に関しては、そんなに「就活」という感じのことはしていなくて、自己分析や業界研究もそれなりにしかやっていませんでした。さきほど話したように、大学受験で失敗していたので、普段からビジネス書を読んで勉強したり、違うところで勝負していこうみたいな感じで、毎日メモを書いていたり、少し意識高く過ごしてはいました。
就職活動でも、とくに役に立ったのは、面接をして、やりとりや話した内容などを全部メモに書き出して振り返るということでした。それで僕は短期間ですごくパワーアップしたと思いました。
最初の頃は色んな会社に落ちていたのですが、そこでどうして落ちたかをすぐに自分で振り返って分析して、何度も何度も答え方やアピールの仕方などを研究して、自分なりのかたちを作っていきました。
選考を受けた会社は、おもにIT系の会社で、サイバーエージェントさんや電通さん、ネットの広告代理店さんなどを受けました。
実際に内定をもらったのは、Yahoo、楽天、リクルートでした。情報系で色んなサービスを自社で持っていて、僕の選択肢をそんなに狭くしなくてよさそうで、色んなことをできそうだな思った会社です。
弦本:内定は3社からもらえたんですけど、その中でもリクルートに行くことにしました。
リクルートを選んだ理由は、大きく5つです。
まず「人」がすごいいいなと思って、一人ひとりの社員たちが、みなさん「働きがい」というか、もはや「生きがい」みたいな感じで働いているようで、かっこいいなと思いました。また、優秀な人をたくさん輩出しているし、起業や副業も広く認められてるところがいいなと思いました。学生時代には「就職したら人生の終わり」みたいなイメージもあったので、そうでなさそうな「人」がたくさんいたのが、一番いいと思った理由です。
2つ目の「機会」に関しては、営業の人と企画する人の距離が近く、若い人でも現場のことを理解して、新しいことにチャレンジできるように整っているなと感じました。
3つ目は「IT×ビジネス」です。僕が入社したのは11年前なのですが、その当時のリクルートは情報誌、いわゆる駅にある無料のフリーペーパーを扱っている会社だというイメージが強かったんです。しかし、これからITにシフトしていくぞというときに、ネットでも大きくなりそうだと感じました。
一方で、僕は情報系でずっとプログラミングをしていたのですが、エラーが出てバグを取ったりするのがあまり好きではなかったんです。海外でも優秀なインド人などのエンジニアがいると思っていたので、自分は開発者では勝負できないな、と考えていました。そこで、自分自身としてはプログラミングはせずに、ITのサービスの企画や、開発の要件定義などで携わりながらITに関われる仕事をしたいというふうに考えていました。
4つ目には「大手×ベンチャー」と書いたのですが、リクルートは大企業として、やはり資金力があり組織も大きい良い面がありながらも、ベンチャーのような、若手が新規事業などもガンガンやれるといったところや、一人ひとりが「意志を持って動ける」ところもあるように感じたので、いいなと思いました。
最後の「給料」に関しても、日本企業の平均でみても初任給が高く、若いうちから上がりやすいということで、選ばせていただきました。
先生:いまはYahooや楽天も面白いと思うんですよね。楽天は副業はだめでしたっけ?Yahooはいいですけど。
弦本:そうですね。でも当時はYahooもだめだったかもしれないです。
先生:たしかに。そのときからリクルートはオッケーだったんですね。副業が。
弦本:そうなんです。
先生:いま、みんなの世代もやっぱり副業が最初にできるかというのが結構大きいと思って、うちのゼミなんかでも言ってるんですけど、そういう制度があるところを受けたほうがいいと思うんですよね。
弦本:そうですね。「副業もやりたい」というぐらいの人のほうが、優秀だと思われることもあると思います。副業も許容しないと採用できないと思っている会社や、あえて副業人材を採用したいという会社も増えてきていると思います。
先生:いま3社に内定したら、リクルートに行く?
弦本:そうですね。はい、それは間違いないと思います。
先生:他、Yahoo、楽天より全然いい会社?
弦本:そうだと思います。あまり僕がここで話して、みなさんの考え方を変えるのは良くないとは思うのですが、僕自身は良い選択肢だと思っていて、個人的にはオススメです。
弦本:就活はこのような経緯で、リクルートに入りました。
さきほども少しお話したのですが、大学では自分で黙々とビジネス書を読んだり、プログラミングをひとりでやったりみたいな感じで、ほとんど大学の外の活動はしていませんでした。
そういったこともあって、リクルートの内定者になったときに、人生が変わりました。
当時は大学3年生の春に内定が出るスケジュールだったのですが、大学4年生の1年間は内定者として過ごして、内定者同士でのつながりができていました。そのときに、他の大学ですごい活動をしている面白い人たちがたくさんいて、刺激を受けました。100人ほどの同期がいましたが、30人ほどが起業をしていました。
その頃は、学生起業が流行っていて0円で起業できるようになったばかりだったこともあって、大学生なのに自分で会社をつくっているんだとか、なんなら初任給よりも稼いでいる人もいて、面白くて同期たちの学校の活動についていったり、起業した会社に遊びに行って何をしているかを教えてもらったりとか、色々なところに遊びに行きました。それが楽しかったのが、いまの活動にもつながっていると思います。
先生:その人たちはリクルートに入ってきたんですか?みんな。
弦本:そうですね。その時は内定者でしたが、入社しました。
先生:自分の会社を持ちながら入ってくるのか。
弦本:そうです。
先生:すげえな。
弦本:ひとり、すごい人の例をあげると、彼は早稲田大学の学生だったのですが、スポーツマネジメントの会社をつくって有名な水泳選手のブランドビジネスみたいなことをやっていました。その彼はもともと大企業の様子を知りたいから入社したと話していて「1年で新人賞を取って辞める」と言っていたのですが、実際にはそれ以上に良い、全体での一番良い賞を取って、本当に1年で会社を辞めていきました。いまは日本と海外をつなぐファンドみたいのをやっていて、この間は首相をブラジルに招待したりなどしていて、やっぱりすごいなみたいなのを感じました。
先生:突き抜けていますね。
弦本:突き抜けている人もいて。そういう人たちにも。
先生:会えるよね。
弦本:内定者は同期として対等な関係で、会社的な遠慮や忖度なく会えるで、会社の先輩後輩などでもなく付き合える良い関係なので、ぜひオススメです。
ということで、ここまでが就職するまでの話でした。ここからは、企業で働きながら副業や起業をした話をしていきます。
さきほど、リクルートで働きながら副業をして、ビルを買ったり本を書いたりしていますという話をしましたが、もう少し細かく話していきます。
まず、リクルートに関しては、ご存じの方も多いかもしれませんが「SUUMO」という不動産のメディアの担当をしていました。
2011年に新卒で入社して、最初のうちはウェブマーケティングっていう、CRMだったり、リターゲティングっていうんですけど、一度サイトで物件を見たら、他のサイトでもずっとくるくる回るバナーがついてくるみたいな、なんかありますよね。たとえばZOZOとかで服を探していたら服の広告がいっぱい出てくるみたいな。ああいうののSUUMO版をやっていたりとかしていました。
そのあとにメディアの商品企画を担当しました。例えば、ウェブサイトのボタンの位置をどうしようかとか、人によって見せ方を変えてどちらがクリックがされやすいかみたいなものをテストするABテストといったものなどです。
他にも、お客さんからお金をもらってメディアを運営してるので、どういう順番で物件を出したほうが、ユーザーにも使われやすくお客さんからもお金をもらえるかといった、両方のバランスが取れるようなものを企画したり、新規事業を考えたりしていました。
そのあとに、少しキャリアをチェンジして、組織開発や人事の仕事に異動しました。
リクルートではNew RingやRingと呼ばれているのですが新規事業の提案制度があって、毎年何かしら出すようにしていて、7年目ぐらいからは事務局や審査員をする経験もしました。
先生:戸建てを買っていますよね?
弦本:はい、社会人2年目のときに戸建ての担当になったので、戸建てを買う人の気持ちが分からないといい企画できないと思って、実際に自分で買うということをしました。
翌年には売却のプロジェクトにアサインされたので、売る体験したいと思って売ってしまいましたが。
先生:儲かった?儲かんないか。
弦本:1年間で、1,000万円ぐらいのプラスで売れました。
先生:おおすごい。やっぱり上がると思って買ったんですね?
弦本:というよりは、買うときに売れ残っていたものをさらに値引きして買ったので、売る時に元の値段にすることで、売れました。
先生:うわあ。ちょっとやり手感すごいね。
弦本:そこに食いつかれるとは(笑)
弦本:2つ目にいきますね。副業や起業系ですね。
ここは大きく3つこだわっているポイントがあります。1つ目が困っている人だったり困ってる場所の気持ちになることです。そして彼らの可能性を見つけることです。
2つ目めはそういったものを他のものとマッチングして、お互いのためになるものがないかを考えること。
3つ目は、それをお互いに組み合わせることで、「自分が良くて相手も良くて、世の中も良ければ成立する」みたいなものを実現すること。昔の近江商人の言葉で「三方良し」という言葉があるのですが「売り手良し、買い手良し、世の中良し」みたいなことを考えています。
だれかが損をするものではなく、みんながハッピーになることをしつづける、というのをコンセプトにしています。
たとえば、社会人1年目のときにおこなったものですが、音大生のプロジェクトをやりました。音大生は音楽好きで、ピアノを弾いたり衣装を持っていたりしするのですが、発表の場所がほしいな人たちがいて、一方でレストランはピアノがあるのに弾かれていないようなところがあったりして、少し奥まったところにあってお客さんが少ないようなお店とマッチングしてイベントをするみたいなことをしました。
他にも、ダンサーさんのものは、これは18歳ぐらいの学生さんのダンサーさんたちなのですが、たぶん法政大学でもそうだと思いますが、学校の外の大きな窓の前で踊りの練習をしたりしていると思うんです。実際にはレッスン料やスタジオ代などを払って練習していたりするのですが、じつはクラブなどでは本格的に踊れるということで。少しチャラいのですが、クラブとかは夕方にはまだ本営業をしていないので、結構安く借りれたりするんですよね。なので夕方に、しかも未成年なのでお酒ではなくジュースを提供して、本物のスモークを炊いて本格的な照明を当ててパフォーマンスをする、みたいなイベントをしました。
あとは美大生のものは、美術の専門生なのですが、自分の描いた絵をアトリエに置いておいて、そのまま丸めて捨てちゃうというのがもったいなかったので、バーに置くようなことをしました。
あとは、美容師さんの卵の人をマッチングしたり、教育実習の学生さんたちを無料で沖縄の離島に連れていって、そこで勉強を教えてもらうみたいなものなどをやりました。
ここまでは結構スポットでやっていて、1回やったら次のテーマで、次の1回をやったらまた次のテーマで、みたいな感じで、どんどん手を変え品を変えやっていきました。地方の情報系の高専生のものは長く続いて、いまも会社にして続いています。これは、地方の情報系の学生さんを東京のIT企業に紹介するというものです。
いずれにしても、こだわってやってるのは、可能性のある人たちの気持ちになって、その場所や人をくっつけて、お互いの課題を解決したりとか可能性を引き出したりするみたいなものです。どれも共通しているかと思います。
先生:これ、要はパーセンテージは、マッチング費は20%ぐらい?もっと取る?バラバラ?
弦本:バラバラですね。高専のだと。
先生:単価はでかいのか。
弦本:もとが採用費だったりするので、1社たとえば40万円とか80万円とかをもらってやるという感じですね。
先生:美術バーとかで絵が売れたら20%ぐらい?
弦本:そうですね。でもこのあたりは、いま考えてもお金を稼げるものではなかったですね。アイデアを実現するのが楽しくて無給で動いていたという感じです。
弦本:3つ目が弦本ビルです。
きっかけは、さきほど先生にもつっこんでいただきましたが「いい企画をつくるためには自分でも体験したい」と思ったことで、買ったり売ったりを繰り返しやっていたときに、ビルを紹介されたのでそれを買いました。1階が中華屋さんの、こんなビルです。
先生:これを買ったのね、まるごと。
弦本:これをまるごと買いました。
先生:1階の中華屋から家賃をもらっているわけですね。
弦本:そうです。いまは全部を貸しているので、全部の階からもらっていますね。
先生:へえ、まるごといいよね。
弦本:先生の食いつきがすごいのでお話すると、これは7,400万円で買ったんですね。
先生:安い。
弦本:リクルートの先輩とかも、7,400万円ぐらいでタワーマンションの1室を買ったりするんですよね。でもそれって、貸しても25万円とか30万円ぐらいの家賃にしかならないんですよ。
でもこのビルは、1棟で月に100万円以上の家賃をもらっています。みんなが買うような家ではなく、商業用のビルを買えばいいのにと個人的には思っています(笑)
先生:どれぐらい探していたんですか?その物件は。
弦本:ビルを買おうと思って動いていたのではなく、売ったり買ったりしてお世話になった不動産屋さんの営業の方が紹介してくれました。僕がシェアハウスをやっていたりしていて、この人はただ物件を買って売ってだけではなく、活用もして面白いことをしていると興味を持ってくれていました。そこで「弦本さん、飲食店とオフィスと住居がついてるビルなんだけど、買いませんか?」と声をかけてもらって買ったという感じでした。
先生:面白い。
弦本:なので、1階に飲食店があり、2階と3階がオフィスやイベントスペースで、4階と5階がシェアハウスみたいなかたちになっていて、ここは20代の若手の社会人とか学生さんがやりたいこと実現するような場所になっています。
僕は、さきほど話したような色々な「プロデュース」をしてきたのですが、ここでは「プロデュースする人たちをプロデュースする」みたいな感じで、たくさんのそういった活動をしている人たちが集まって、それぞれ切磋琢磨できるような場所になっています。
弦本:最後に本については、自分が経験したことを広めたいと思っているので、それぞれテーマを変えて書いています。
ひとまず、ここまでが自己紹介と、副業や起業をしてきた話になります。このあとに副業や起業をするメリットの話をしようと思っていますが、その前に1回、質問があればQ&Aの時間を挟もうと思っています。
先生:いやあ、面白い話だ全部。どうぞ。
弦本:質問がなければ、選んでもらうのでもいいかなと思って、一応よくある質問を持ってきています。
先生:収入はいくらかね。
学生:気になる。
日比:それ、僕も教えてもらっていないです。
先生:収入って要はマルチインカムだからね。ざくっと月ベースで言うと?
弦本:会社を自分でやっていると、計算が難しくはありますね。これを収入としてカウントしていいのかなど。
先生:売上とね。
弦本:はい、売上よりも利益で計算したほうがいいと思ったり。
先生:役員報酬とね。
弦本:株主の会社の内部留保などもあるので、なかなか計算が難しいのですが、感覚的には、たぶん2,000万円から2,500万円ぐらいですね。年収でいうと。
先生:月にすると200万円ぐらいは入ってくるという。
弦本:そうですね。
先生:月収でいうとね、やっぱり豊かですよね。そしてこの余裕感。
学生:うちら、月に2万円で頑張って働いているのに。
先生:だからなの、だからやったほうがいいと思う。みんな学生ってすごい武器を持っているんですよ。持っているのになんとなくのアルバイトをしていて、時間がもったいなくない?っていう。もっとみんなの武器を、たとえばオンライン家庭教師とかさ、法政大学のキャリアデザイン学部に入ったオンライン家庭教師だったら1時間5,000円もらえるぞ。やんないとね。
弦本:僕も似たようなことを思ったんですけど、地方の高専生に聞くと、やっぱり地方にいるということもあって、居酒屋でバイトしていますとか、コンビニでバイトしていますとかが多いんですよね。もちろんそれが悪いというわけではないのですが、せっかくロボットを作りたいとかゲームを作りたいと思って学んでいるんだから、そういう仕事をしたほうがいいと思っていました。
なので、僕らが東京のIT系の会社さんから開発を受託して、日本全国の高専生たちにちぎって渡して、時給1,500円ぐらいで働けますよみたいなのを作ったりしていました。みなさんは東京にいてさらにチャンスもあると思うので、そういったことをしたほうがいいと思います。
先生:この副業は学生のときからやられているのですか?
弦本:これは、社会人1年目の終わりからですね。
先生:最初のほうの、ダンスのやつは学生のとき?
弦本:いえ、この辺も社会人1年目ぐらいですね。学生時代は起業だけしたという感じで、そこから色々と模索して、色んな分野の専門性のある人たちとやっていて、高専を見つけたので、高専に注力したという感じですね。
先生:他、質問どうぞ。
弦本:はい、全然なんでもどうぞ。お金の話に答えたから、もう満足ですかね(笑)
先生:真似できるよ。真似しようよみんなで。こういうふうにしたほうがいいよ。賢くない?生き方が。
学生:はい。
弦本:はい。
学生:内定が決まったあとに、内定が決まった人同士で色々と出会って起業している方とかのところにお邪魔したということだったんですけど、リクルートに内定が決まるまでに頑張ったこととかありますか?
弦本:はい。ありがとうございます。リクルートに入るまでに頑張っていたのは、勉強とか頑張ってました(笑)
一同:(笑)
日比:普通だな。
学生:どういった勉強を?
先生:そうだよね。
弦本:でもそれもすごい、いい質問で、本業や副業をやっていてもそうなのですが、本業できちんと成果を出さないとかっこ悪いじゃないですか。だから、きちんと本業、というか勉強をするというのも大事だと思っています。今回のお話にあたり、少し調べてみたんですけど、「GPA」って今も使っていますか?
先生:GPAはあります。もちろん。
弦本:4.73だったんです。
先生:それすごいね。それ学年のトップ10位に入るぐらいだね。
弦本:学科でトップ2位でしたね。
先生:ですね。めちゃくちゃ勉強、頑張ってる。
弦本:勉強を頑張っていました(笑)
学生:やだあ。
先生:やだあって。それぐらい成果を見せないといけないよね。
弦本:あとはプログラミングにはまって、ずっとプログラミングをしていました。あとは、恋愛したりとかサークルをしたりとか、やっていましたね。
日比:4年半、付き合った彼女と別れてとか。
弦本:そうですね、4年半付き合った彼女とも大学のときに付き合ってたので、それもすごい良かったですね。
一同:(笑)
先生:その、サラリーマンでビルを買ったって人はまわりにいます?アパートを持っていますとか、ひと部屋はあるかもしれないけど。まるごとってしかも、名前は買ったらつけれるの?
弦本:そうなんですよ。僕が買った時には松岡さんっていう人が持っていて、「松岡ビル」だったんです。いざ買って名前を変えなきゃとなって、でもすぐに思いつかなかったので、「弦本ビル」と名付けました。
先生:それはすごいいいですよね。めちゃくちゃ面白い。
弦本:そしたら、郵便局とかはそれを把握して、呼んでいたらいつの間にか登録されていました。Googleマップにも気がつくと登録されていました。
先生:大社長みたいな感じになりますね。ビルを持っているって。
学生:夢あるね。
日比:夢を持っていますね。たしかに。
先生:でしょう?リクルートでビルを持っているのは?
弦本:リクルートでビルを持っている人は少ないと思います。SUUMOにいてビルを持っている人といえば、たぶん「ああ、弦本ね」となると思います。
先生:でもそのSUUMOは結構長かったでしょ?
弦本:長かったです。
先生:だからいいですよね。現場でやっている人が実際に家を買ってみる、売ってみるとか。
弦本:そうですね。
先生:そういう本業との一体感もいいですよね。
弦本:そうなんです。
学生:音大生の知り合いが結構多いので、ピアノのレストランの紹介みたいなやつ、僕もできそうだなって思って。
弦本:ぜひぜひ。応援します!
学生:ちなみに、レストランにどういうアプローチをしたんですか?
弦本:それは、ピアノがあって、あんまり人が入ってないところから安く借りるっていうやりかたでした。そしてそのときは貸し切りにしてイベントをやりました。いまの時代だと、やり方が違う方がいいかもしれないので、詳しくはないのですが。
でも、やはりさきほどの不動産の買って売ってとした話にも近いのですが、「商売の基本は安く買って高く売る」みたいなことだと思うので、なるべく広い場所を安く借りて、個人に対して参加費などで高く、高くというか普通の値段ぐらいをもらってやるみたいなのができるといいかなと思います。
そうはいっても、ただそれをやるだけではつまらないので、自分らしさを加えて、たとえば好きな音楽のコンセプトにするであったり、演出するであったりすると、自分らしさの価値もさらにつけれて、さらにいいものになるのではないかと思います。
先生:ちょうどさっき、苦労して内定した学生さんから連絡があって。会社に入ったら研修があって、そして残業代がつかないと。土日も働く。もちろんホワイト企業だから、月火が休みなのかな。初任給はもらえて、でもまぁ20万円は切ってくるんだよね。それでもんもんとしていたけど、なんでみんな副業をやらないんだろうな。自分なんか、副業なんか全然、法政の給料よりも大きいからね。だから登壇するときには「法政大学が副業です」って言っているもん。
弦本:僕も「リクルートが副業」って言われることが多いです(笑)
先生:でしょ。逆転してくるのよ。でも、勘違いしてはいけないのは、本業を軽視していることはまったくないね。
弦本:そうですね。
先生:本業でやっぱり成果を出さなきゃいけないから、キャリアデザインをだれよりも紹介してやろうと思って、広報委員長をやっているんですよ。だからそういう想いもあるし。せっかくこういう話を聞いたら、やったほうがいいよね。アルバイトをしてお金をもらってるうちは思考のリミットがはずれないと思うんだよ。稼いだほうがいいと思うんだよ。
弦本:たしかに。
先生:稼がないとだめよ。たぶん、もらうっていうのと稼ぐっていうのは、心理的なスイッチがたぶん全然、違うんですよ。
弦本:そうですね。もちろん会社から初任給をもらったときも嬉しかったんですけど、自分で稼いだお金もまた、すごく嬉しかったですね。自分で価値を提供した結果というのが嬉しいんですよね。就活生を会社に紹介して決まったときとかも、おそらく会社の仕事としてであれば、たぶんそこまで嬉しくないと思うんですよ。仕事の中で来た人を仕事の中で紹介する先につなげているだけだから。でも、自分で立ち上げた組織で、自分が作った接点で、価値を提供すると、たとえ小さなことでも嬉しいと思うんです。
先生:嬉しいよね。
弦本:この価値は「本当に自分がいないと作れなかったんだ」っていう、嬉しさがすごいありましたね。それは自分でお金を稼いだときもそうだと思うし、なにかしら仕事で成果を出したときもそうだと思います。
先生:ものすごい面白い。プロデュサーをプロデュースするっていうのが一番、人間にとって面白いもんね。つまり、その人がどんどん世界を作っていってくれるわけじゃん。自分も結構その感覚があって、もう大学を辞めようって思っていたんだけど、辞めない理由としては、元ゼミ生と会っても、またその子がどんどん成長していくのが見れるのが楽しいんですよね。
弦本:そうですね。
先生:人は自分たちは一人ひとりなんだけど、こういうコネクションの中で、みんなが新しい次なる事業とかやってってくれるっていうのはいいですね。
弦本:そう思います。色んな人の人生を、自分も生きれるというか、一緒に並行して経験しているようで。
先生:ですよね。一緒に共有できるから。模擬体験できるというか、なんかいいなって思いますよね。
弦本:そうですね。僕もそう思います。
先生:学生時代にやるべきこととか、聞いておいたほうがいいんじゃない?
学生:1日の時間の使い方がすごい気になって、出社したときに、朝は何時に起きて、どこまでリクルートのことやって、起業に関するすることをやってっていう、時間配分みたいなことが気になって。
弦本:はい。ありがとうございます。これはフェーズによって違うのと、あとは時代もあったのでなんともいえないのですが、さっき話した、色んなイベントをやったりとか高専のことはじめたりしたときはめちゃくちゃ忙しくて。
会社は始業が10時からで、終業は6時半ぐらいだったんですけど、当時はまだリクルートも上場していなくて、職場のルールとかも残業し放題な感じだったので、夜の10時ぐらいでも普通に働いていました。
そこから副業を手伝ってくれている同期と一緒に、近くのマクドナルドに行って、終電の1時半ぐらいまで副業の打ち合わせをする感じで。そこかららさらに、家に帰って朝4時半ぐらいまで資料を作ったりとかメールを打ったりとかして、寝て起きてシャワーを浴びてまた会社に行くみたいな感じでした。
当時は副業の取引先のみなさんも、そうやって弦本が副業としてやっているのを知っていたから、昼休みの時間にアポを入れさせてもらったり、夜ご飯を食べながら契約書に判子を捺してもらったりみたいな。取引先の方にも気を遣ってもらっていました。
学生:ほぼ寝てないっていう感じですね。
弦本:そうですね。4時間ぐらいしか寝てないですね。でも、それでも楽しくて。
先生:そうだよな。
弦本:少し違うんですよね、頭の使う場所が。会社で働くのも楽しいけれど、自分の仕事も楽しいから、頭を切り替えて、へとへとなんだけど、楽しくやれちゃいましたね。その頃は。
先生:いまはもっと、リクルートの就業時間がタイトになってきて、短くなっている?
弦本:そうですね。いまは上場して労働時間も厳しくみるようになったから、僕も月によりますが、早ければ夜の7時とかにはだいたい終わる感じになります。
あとは、副業系も自分で1回やったら、どんどん渡していくようにしているので、自分の手を離れていっていて、いまでは当時みたいにたくさん動いてるわけではないですね。もしかしたら、均すと1日1~2時間とかかもしれないですね。
学生:ありがとうございます。
先生:いま3社を持っている?株式会社で。
弦本:はい、3社を株式会社で。そのうちの1社は去年の4月に売りました。
先生:ああ、売却。
弦本:なのえ、いまは2社ですね。
先生:だれかに売却をしたんですね。そのまま?
弦本:共同で手伝ってくれていた人に、株を渡しました。
先生:これもいいよ。この売却もいいよね。売却のほうがやっぱり不動産より儲かりますね。
弦本:内容によるかもしれないですけどね。ベンチャーのすごいところだと、何倍、何十倍になると思いますけど。
先生:生き方のヒントがあると思うよ。整理するとね、何が起きるかというと、みんなはこれから残業代がもらえないんだよ。わかる?これポイントだよ。残業代、企業が払ってくれないからね。昔は企業戦士って何をやってたかって言ったら、残業代でローンとかを払っていたんですよ。月7万円とか10万円とかをね。でも、みんなの残業代は出ないからね。いい会社に入っても副業禁止だったら年収400万円だったらずっと400万円じゃない。それでみんなそこそこいいパフェとか食べているから。1,500円とかのランチをするでしょ。それも大変なんだぞ。それでそんな変なところに住めないから、家賃10万円近くのところに住むんですよ、みんな。そしたら半分は出費になっちゃうんだよ。
弦本:結構、その通りだと思っています。以前、電通さんから講演の依頼をいただいて、電通の方々に副業と不動産投資について話しに行ったんです。その目的は、これから残業代が払えなくなるから、自分でお金を稼げるような社員になってほしいということで、その例として話してほしいと言われました。本当に残業代がなくなってきているみたいです。
先生:だって、働き方改革で働いちゃいけないって。労働の問題に対して企業側って本当にガバナンスがきつくて。社員にとっては楽しく働きたいのに働けないから、みなし残業みたいになってしまって、わけがわからなくなっているんだよね。オフィスの電気は消しているんだけど、近くの喫茶店で仕事をしていて。残業代も出ないのに、クライアント先の資料を作ってとかさ。だったらそれよりも副業をやったほうがいいですよね。
日比:いまは上場企業ではパソコンのチェックがされているので、時間外はだめですね、たぶん。
弦本:リクルートもパソコンのモニタリングがされてるんで、できないですね。
先生:でも入ろうと思えば入れる?
弦本:できないようになっています。会社の資料を会社以外のパソコンに持ち出すのも禁止されていたりします。
でも、逆にいいのは、いままでは労働時間の総量で勝負する時代だったんですけど、いまは効率性を求められているので、時間の制限がある人だけでなく、全員が逆に効率よく働くことのほうが求められてくることですね。
それこそ、育児中の方や副業の人でも、どんな働き方の人でも同じような基準で評価されるようになるから、ただ「がむしゃらに時間をかけて頑張ったから良い成績です」という時代ではなくなってきているのを感じています。
先生:だから生産性なんですよ。生産性を高めること。
日比:時給だって考えたほうがいいですよね。本当に自分の。そこが大事ですね。
先生:いま、みんなの時給はいくらなの?プライス設定はいくら?
学生:1,200円。もうひとつは1,050円。
先生:それを3,000円とか5,000円に上げる練習をしておいたほうがいいよ。本当に。やっぱり時間って最大の価値ですよね。だからみんながものすごい時間があっても、安い売り方をしないほうがいいなと思うんだけど。1,200円をもらって、ここでやりたいっていう経験を買えるんであれば、全然いいと思うんですよね。
弦本:そうですね。
先生:でも1,200円をもらって機械化労働になってしまったら、本当に時間がもったいない。その間に1秒1秒、老けていくよね。つまらなくなるんだよ。いきましょう。
弦本:そうですね。あとは同じ時給でも、バイトの時間以外にバイトのために使っている時間があると思うので、そこをより効率的にするのも大事ですね。たとえば僕も塾講師をしていたときには、土曜日に5コマの授業を詰めて入れて、なるべく事前の予習をせずに、授業の時間内に、生徒さんが問題を解いている間にどういうふうに解説するかを考えるようにしていました。それでは次にいきますね。
弦本:次は、いままで話してた内容もありますが、副業や起業をするメリットについて話します。メリットは、単刀直入に言うと「お金とやりがいが両立できる」ということです。
企業で働くときと、自分で副業や起業をしたときの違いとして、一番大きいのがお金とやりがいかなと思っています。メリットとデメリットを書いていくと、大企業はリスクが小さい、安定した収入がある、福利厚生がある、名刺や信用がある、人との繋がりがある、大きなお金を動かせたり、自分がたとえ体調が悪くて休んだとしても変わりに働いてくれる人がいたり、時間にも余裕がある、みたいなところだと思います。
一方で、企業で働くデメリットとしては、自分が必ずしも全部やりたいと思ってることだけが仕事にできるわけではなかったりとか、自分の時間やお金を自由にコントロールできなかったり、自分の名前だけで仕事ができないというところ。他にもまったくのゼロからイチを立ち上げる経験ができなかったり、思いを押し殺しちゃったりみたいなとことか、あとから入った社員の人とかは、そんなに経営者マインドや起業家マインドが持てなかったりすると思うので、そこの辺は学べないのではないかと思います。
一方で、小さな起業だったり副業を自分でやると自分が主体になるので、お金を気にせずやりがいを重視できるっていうのがメリットだと思っています。自分のやりたいことができたり、自分の時間だったりお金をコントロールしたりすることができる。なので、これは赤字になるけど、やりたいからやるみたいなこともできるのが起業の醍醐味だと思います。あとは、さきほど話した直接的に自分で価値を提供して喜んでもらえるところだったり、ゼロからイチができたり、経営者マインドや起業家マインドが得られます。
一方で、副業や小さな起業のデメリットとしては、リスクが大きいことや、収入が不安定なこと、教育や研修がなく、ブランドも信用もない。銀行からお金を借りるのを断られることもあります。大きなお金も動かせないし、自分がいなくなったらもうそこで止まっちゃうみたいな、時間にも余裕がないみたいなところがあります。
これが大企業で働くときと、自分でやる副業や起業との大きなメリットデメリットになるのですが、それぞれが交差していると思っていて、それぞれのデメリットをもう一方のメリットで補い合えるって関係にあると考えています。
そのため、両方をすることで「お金とやりがいが両立できる」と思っていて、たとえばリスクが大きいから起業ができないという場合は、リスクは大企業のほうで働くことで小さくしながら、残りの時間で取れるリスクを自分で取る、といったことができるのがいいと思います。
僕自身もリクルートに入って色々とやっているので、リクルートの人だったら会ってみてもいいかなと思ってもらえたり、そういう大企業の信用とかを活かしつつ、大企業のメリットを自分でやる副業のデメリットに当てていくみたいな考え方をしています。
逆に、自分で副業や小さな起業をする経験からは、たとえば自分の想いでやることや、経営者や起業家の視点などが身について、それを企業に持っていくと重宝されたりもするのです。会社で働くときに意志を持って提案したりとか、私だったらこうしますみたいな意識であったり、こういう想いで、こういう人たちのためになるんで頑張りますみたいものを、大企業でもできると、自分にとっても企業にとってもメリットになると思います。
先生:たしかに。だから、副業もできる人が価値をもつ時代が来ていますね。
弦本:そうですね。
先生:昔は面接のときに、なんでそんなことをやっているの?副業はうちに入社する時に辞めるんだよね?っていう面談をやっていたと思うけど、いまはもう、それをもっと伸ばしなよみたいな。なんならうちから投資しようか?みたいな話にもなりかねないですね。
弦本:おっしゃる通りだと思います。
今日は、まだ本業もはじめていないみなさんだと思うので、どういうふうにイメージしていくのがいいか、流れを考えてみました。
まず2つの軸として、「自分のため」すなわちやりがいと、「誰かのため」すなわちお金になること、と置いています。
最初のスタートは、どちらもない左下の状態からはじまります。最終的には、両方が大きい右上に行きつくのがいいと思っています。自分がやりたい、自分にしかできないと思ってやっていることが、だれかのためになっていて、「ありがとう」と言ってお金がもらえるみたいな状態が理想だと思っています。
まずは、スキルをつけたり生活を安定させたりしないといけないと思うので、本業という、僕の場合ではリクルートのような企業で働いて、お金をもらいつつ勉強をするというのをはじめます。
ステップ2は、さきほどの先生の話だと、学生のうちから先にやってもいいという話だったので、いまのうちにやってもいいと思うんですけど、本業で学んだことを活かして、やりがいを重視して副業をやってみます。このときは、思いっきり自分がやりたいことに振り切って、お金のことは考えずに、自分のもっているお金の範囲内でやれることをやってみるのがおすすめです。
ステップ3としては、そのやりたいと思ってやっている気持ちを、少し本業にも応用してみて、本業でやりがいを感じる部分がないかを探して、そのやりがいを高めていくことです。ただし、そうはいってもその会社の創業者ではないと思うので、完全にこれだけでゴールにいくことはないと思っています。ここでは、なるべく本業をゴールに近づけいくことが大事だと思っています。
次に、副業ではやりがいに振り切ってやっていた部分から、お金になる副業にもシフトしていきます。これが4ステップ目です。
その後は、本業側からも、副業のお金になる部分に向けて近づけます。こうして、やりがいもあるけどお金にもなるみたいな両立の部分を育てていきます。最後にその規模を大きくしていくことで、最終的には自分のやりたいことでお金も生まれるところに辿り着くのではないかと思っています。
先生:めちゃくちゃ面白いですね。これを本にするんでしょう?
弦本:そうです。こういうことを本にしようと考えています。
先生:めちゃくちゃ分かりやすい。売れますね。大体多いのダイヤモンド社か、ディスカバーか、東洋経済か。表紙はtobufuneチームがいいですよ。大体ビジネス書の表紙って、tobufuneチームが手がけているんです。いまたぶん50%ぐらいがtobufuneなんですよ。お金がかかっても、全然に張ったほうがいいから。
弦本:参考になります。先生、30冊ぐらい出版していらっしゃいますもんね。
先生:出すだけ。昨日も元ゼミ生の女の子から、売れないのによく出し続けますねって。ありがとうっつって。でも、僕は数を取りに行ったんですね。これはキャリア戦略なの。1冊でパーンといけばいいけど、僕は大学の中にいて、本業の中から生まれてくるので、これはアーカイブ戦略だから、そうするとどこかの本で当たるんですよね。本の価値って減らないから、腐らないでしょ、生ものじゃないから。これは興味深い。
弦本:ありがとうございます。それでは次にいきますね。
弦本:次は、副業のテーマ選びのコツですね。これは、大きく3つかなと思っています。1つ目が本業でやってる得意なところを活かすというところです。2つ目が自分でコントロールできるもの、3つ目はかかりきりにならないものです。
自分の本業での得意を活かすというところで、少しワークのようになるところがありますが、僕の場合はリクルートで働いてて、SUUMOで働いているのが本業ですので、これをキーワードに分解してみます。
弦本:そうすると、マッチングの会社でITをやっていて、居住用不動産がテーマで、新規事業や組織の人事、人材育成をやっています。
これをもとに、キーワードを近くのものに変えるとか、他と組み合わせるとか、再構築すると副業のテーマが見つかりやすいと思っています。
僕の場合のひとつは、マッチングとITと新規事業と人材育成をくっつけて、IT系の学生さんの就職支援の会社が副業になりました。
弦本:他にも、居住用の不動産からは商業用の不動産に変えて、新規事業や組織開発を活かして、起業家のビルになりました。
弦本:あとは居住用の不動産の書籍を出すことは、本業に近いと思ったので、あくまで不動産投資全般の本ですとして、書籍の出版をしました。
先生:それも大事ですよね。
弦本:さきほど本業と副業のメリットやデメリットの行き来を話しましたが、共通するキーワードがあると、企業と副業との行き来がさらに加速します。そして副業をしていくステップについても話しましたが、共通するキーワードがあることで、そのステップが進めやすくなります。
本業側には、「本業とは少し違いますが、本業の役に立つんです。本業のために自分でも勉強してみているんです」みたいなことをいうイメージです。
もちろん、たとえば書籍の出版の前にはリクルートの広報にもレビューをしてもらって、役員の承認もあったうえで出版してはいるので、完全にテーマがかぶっていてもOKが出ることもあるかもしれませんが、内容が本業と完全にかぶってしまっているのは個人的にはよくないと思うので、少しずらすみたいなのを意識していました。
気を付けなければいけないこととしては、本業に対して毀損しないようにすることです。そこはきちんと見ておかなければならないと思います。会社には人事の規定もありますし、競業禁止や自己取引の禁止、これは本業の担当の仕事を自分の会社に発注してはいけないということですが、そういったルールが定められていたりします。
他にも、情報漏洩しちゃだめですとか、副業が公序良俗に反してはだめですみたいなものも、社会人としては当たり前で、なにも副業にかぎらないことではありますが、本業にリスクを与えないことが大事です。
僕も半年に1回、きちんとリクルートに副業の情報を伝えて、人事にチェックしてもらっています。そのようにして、つねに大丈夫な状態でやっています。今日もここに話しにくるにあたって、発表資料も事前に社内で確認をしてきました。きちんと会社に伝えて社外の活動をしています。
弦本:副業は、こっそりするよりも堂々とやったほうがいいかなと個人的には思っています。
会社にもオープンにしておくと、会社も僕をうまく使って採用などで取り上げてくれたりします。「圧倒的な当事者意識でダブルワークをしています」みたいなので採用ページで紹介してもらったりとか、ビルを買ったときにも「27歳でビルを買って型破りなパラレルキャリアで働いています」みたいなインタビューを、会社のホームページに載せてくれたりしました。
新人の採用のイベントでも、ピカピカの営業のすごいことをやっている人や、社内の賞をいっぱい取っていますみたいな人たちをたくさん紹介する場所があるのですが、それだけでは就活生も飽きてしまうので、変わり種として僕に声がかかることがあります。副業を頑張っていますみたいな話をして、色んな人がいて面白い会社だな、多様な働き方を支援しているんだというのを伝えたりしています。
このように、会社にうまく使ってもらいながら、僕も会社をうまく使っているみたいな感じになってます。理解ある会社であれば、正直に会社に話しておくのは、結構いいと思います。
残りの2つはそこまで具体的ではないのですが、2つ目としては、自分でコントロールできるものが良いです。たぶんみなさんも、この4月から民法が改正されて成人として契約ができるようになったという人も多いと思うのですが、言われるがままに契約するのではなく、きちんと自分で内容を確認したりとか、自分で手を動かして実体がわかった状態でお願いをするとかしていくというのが大事だと思います。
3つ目は、かかりきりにならないものにすることです。あくまで副業なので、本業の支障にならない範囲でということです。つねに張り付いていなければならないのは副業としては不向きです。値動きが激しいFXなどの投資も、あれは投資ではなく時間をかけた副業のようになってしまいがちだと思うのですが、僕はあまりオススメしません。
かかりきりにならないものは、スポットでやれるものと、ストックでやれるものの2つに分かれると思います。短期集中で「スポット」でできるようなことと、コツコツ積み上げていって時間をかけてじわじわと成果が出てくる「ストック」みたいなものが、副業としては最初にはじめやすいと思ってます。
本を書くのはストックだと思うので、先生の出版もそうかもしれないですね。
弦本:最後に、これからのキャリア形成の話です。僕が昔から読んでいて好きな本に『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』という本があります。
みなさんキャリアデザイン学部なので、すでに知っている人が多いかもしれませんが、リンダ・グラットンさんが書いている本です。
「悲観的に見る未来」というのは、ともすると先の見えない時代で、やりたいことができない時代、孤独になっていく時代になっていくと考えられています。こういう時代だからこそ、そういう時代になるかもしれないからこそ、「挑戦する未来」を目指して、これから「自律的に働く個人」や「自律的に働く個人を支援する自律的な組織」を増やしていく必要があると思っています。
今日の僕の話のように、副業をしていると自律型の働き方ができるようになると思っていますし、そういうことをやる個人を支援していく組織も同様に、これからの社会で大事になっていくのではないかと思っています。
今日の話がなにかのヒントになれば嬉しいです。僕は基本的に、OB訪問や気軽な相談も基本的に断らずに受けているので、少しでも質問がしたいだとか、音楽のイベントをやるから相談に乗ってほしいだとか、そういう相談でも、気軽にお声がけください。
あとはいまは準備中ですが、本を出版する予定ですので、なにかキャリアに関する勉強もしたいですし、田中先生にもお世話になりたいと思っていますので、引き続きよろしくお願いできればと考えています。
先生:一緒に登壇しましょう。面白い。めちゃくちゃいいっすね。
弦本:ぜひ引き続き、ご一緒させていただけたらありがたいなと思います。以上です。
一同:(拍手)
先生:では質問タイムでも。みんなから聞きたいことがいっぱいあるんじゃないの?自由にどうぞ。
学生:学生時代にやっといたほうがいいことって、何かありますか?今大学2年生多いんですけど。
弦本:学生時代にやるべきこと。
学生:我々ができそうなこと。
弦本:今日の話で、いまのうちから起業っぽいことをしてみても面白いんじゃないかと思いました。アルバイト以外でも収入を得る、みたいなことをやってみてもいいのかなと思います。
先生:さっきあげていらっしゃったように、本業と副業の地図がすごい分かりやすくて。
いまのうちから、インターンとアルバイトをダブルでやる。それは労働集約型で時間をかけてやるって考えなくて、生産効率を考えて、インターンはどれぐらいでいくらの収益を上げるか、アルバイトはどれぐらいにするかを考える。法政大学の調査では学生の93%がアルバイトをしているんだけど。ほとんど1つの現場で働いていて、そのなかで偉くなってくるから抜け出せなくなるのね。それってキャリア論で考えると、時給では少ししか上がっていないのに、関係性があるから抜け出せなくなって、何が起きるかっていうとキャリア経験の成長が止まってくるんだよね。3年になると辞められなくなるの。仲良くなりすぎちゃって。普通の居酒屋とかでも。だったらパラレルでやるといいんだよね。学生時代からインターンとアルバイトをパラレルでやってる人いる?まだいない?いる?
弦本:おおすごい、結構いますね。
学生:夜は居酒屋、昼はインターンをやっています。
先生:いいよね。その幅感もいいと思うんだよね。この居酒屋も変えていくんだよ。だいたい居酒屋のオペレーションは分かるでしょう?
学生:でも、それこそいま先生が言ってるように、私1年間で10個ぐらいバイトをやって。
弦本:すごい。
学生:9個辞めて、でも私、色々と経験して居酒屋がいいなって感じになりました。
先生:そうね。ある意味、はじまっているんだよね、就活は。その話をすると、たぶんそうやってうちでもやってくれんだなっていって内定をもらうんですよね。でもそれって、何ができないのかって言うと、お金がないからできないわけじゃなくて、思考なんですよね。自分はこれしかできないだろうっていう過去の自分に対してのブレーキがこれからの成長を止めちゃっているから。せっかく、このクラスは全員がインターンをやりましょうっていうクラスなので、これだけリアルなお話を伺えるのってめちゃくちゃいい学びで、もうやったほうがいいよ。
学生:私はいまアルバイトを3つやっていて、それは自分のいい経験だと思って、逆に言うと辞めるつもりはないので、インターンもやりつつ、いまサークルの関係で起業っぽいこともさせてもらってるので、別にアルバイトを辞めなくてもそれはいいのかなとも思っていて。
先生:何と何をやっているの?
学生:居酒屋と塾講師とテレビ局でやらせてもらってて、それぞれジャンルが違うのと、全部自分のためになっていると、将来は広告系に行きたいので、広告動画の案件とかをいただいて結構やっているんです。だからそれをやりつつインターンもやりたいと思って、そこは自分のためになるのなら辞めなくてもいいのかな?
先生:いいけど、人間っていうのはキャパシティがあるから。
学生:そうですね。
先生:そう。だから弦本さんのライフラインチャートでも少しあったかな?キャパシティはみんな気をつけなきゃいけないんだけど、これもキャリア論ではかなりあって、つまり何でもかんでもやって自分が壊れちゃいけないのね。体力がありそうだから回せるのかもしれないけど、選択と集中だから。
弦本:たしかに。僕の幸福度が2回落ちてしまっているのは、キャパシティオーバーです。
先生:やっぱりそこは注意したほうがいい。
学生:危ない時期がすでにあったので。
先生:そう。だから今回の本で「キャリア戦略」っていうふうにしたのは、要はキャリア形成には戦略が必要だって思っていて、辞められないか自分で辞められるかっていうのは戦略的なものすごい大きな分かれ目で、辞めなくてもいいっていう戦略が張れる状況だったら全然いい。だけど、体を壊しちゃったら意味ないから。俺も法政に2008年に着任して、駒沢とか東洋とか一橋とか早稲田とか立教とか、兼務で他の大学もみにいったんです。本を出したら、出し切ったから、今、大学の仕事はここしかない。全部の仕事を断っていて。それはなんでかって言ったら、そこに対してはもう自分のキャリア経験にはならないから。ここでやらせてもらってることと、別の大学でやることって、経験の本質はまったく一緒なんだよね。つまり自分をもうひとり作っただけで、時間は2倍かかるだけで、意味がないじゃん。それで数万円もらったって、時間のほうが有限だから、いまは高校や中学とかのキャリア教育も全部断っている。断ってはいるけど、自分の協会があるので、そこの人たちにパスをしている。そうするとその人たちが5万円や10万円を稼ぐじゃない。みんなで回してけば。
弦本:もう1個の考え方としてあるのは、もし取捨選択をしなければならない状況になった場合には、数値化するというのも手だと思います。少しドライに見えるけれども、やりがいや数字にできないような資産を横並びにしてみて、それをまとめたものとお金とを比較してみるという考え方です。たまにベンチャー起業の売却をしたいとかサイトを売却したいみたいな相談に乗ったりするんですけど、お金以外の想いなどを全部書き出して、それとお金とを比べる。そこを超えてるんだったら売らないし、超えてなかったら売るみたいな。他の選択肢同士でも、できるだけ数字にして比べるというのもいいと思います。少しドライに聞こえてしまうかもしれないけれども、やってみてもいいのかなと思いました。
学生:ありがとうございます。
先生:他、質問どうぞ。あと5分ぐらいいこうか。
学生:いまのものに関連した質問なのですが、いまやっていることがいっぱいあるようなのですが、何に一番力入れてて、どのぐらい力を注いでるか、それで自分で理想を叶えられてるかとかを聞きたいです。
弦本:そうですね。理想に関しては、つねにそのバランスを模索中で、変わり続けるものだとは思っています。
できるだけ自分の余裕な時間を作っておきたいと思っているので、新しいことをはじめるときは必ず辞めることというか、誰かに渡すことを決めていっています。去年はビルの運営を、いままでは自分も入っていたりしてたんですけど、もう次の世代に渡して、自分は月に1回顔出すぐらいにしているんですね。
そこで時間を減らした分で、いまは本を書くところに注力していたりします。次の種を植えられるように、1回育てたものは途中から次のところに渡していくのを心がけてやっていますね。
日比:弦本さんはそれが一番うまいんですよね。2回目をやることが嫌いな人で、同じことをやりたくないんですよね。1回目は自分でガーっとやるんですけど、2回目は誰かに任せるって感じです。もう7~8年ぐらいの付き合いですけど、会社でもしょっちゅう新しい仕事をするんですけど、しばらく経つと電話がかかってきて「もう引き継いだから何か新しいネタを探しに行こう」みたいな感じで誘われるっていう感じです。
先生:だから、完全に「プロティアン」なんだよね。
弦本:イメージは「守破離」という感じですね。たとえば1年単位でやることであれば、1年目は「守」で、言われたことを守りながらきちんとやります。2年目は1回やっているから「破」はとして自分なりのアイディアを入れて工夫してやってみます。そして3年目は「離」なので、定型化したものを次の人に任せて、それを遠くで見ているみたいな感じです。
3段階に分けてはいますが、最初の「守」の段階からやることはリストアップしていて。1回目から、こういうタスクがあってこういうふうにやっていくみたいなものをレシピやマニュアルのようなかたちにして、それを2回目にはブラッシュアップして、3回目はそれを渡すだけで他の人ができるみたいな状態にしています。それで、だれかに渡しつつ自分は次の新しいものを探しに行くという感じにできていますね。
先生:はい。じゃあ、ちょっとみんなはスプレッドシートに入って。今日の弦本さん講演を受けて、大体大学の授業って感想って書くじゃん。感想って意味がないんで、今日からみんなが取り組むことを書いてください。それをみんなで見ていこうと思います。この授業を終えてから何をやるのかということを。キャリアの本って売れるんですよ。なんでかっていうと、みんなが頑張るでしょう?それでみんな悩んでるんで、あとキャリア本とお金っていうのは絶対的に売れるっていう。僕もそれはもう、もろにそれを書きにいっているから。村上臣ちゃんの本とかは転職で売れたでしょ?それなら今回の本では、転職を考えてない人がターゲットだなってなって。
弦本:『転職2.0』ですね。この層のほうが多いですか?
先生:多いですよ。ディスカバー社もキャリア本が強いですし、ダイヤモンド社でいくとブランディングとしては完璧ですよ。
弦本:今日の話を聞いて、どういうところが書くと良さそうですか?
先生:「パラレルキャリア」っていうワードは結構、認知はあるんですけど、パラレルキャリアを歩むとどういうようなマネタイズが起きているのかとか、みんなはそういうことを書いていて。もっと、キャリアのなかで生々しく書いたほうがいいって思っていて、たとえば僕なんか学生とかに自分の上場企業の株を持っているのを見せるのね。映して見せて、これくらい暴落していますとか、1千万円がどうなっていますとかを見せてあげる。そういう学びがなさすぎるんですよ。だから、いまはやっぱり本で求められてることも、キャリア系だと何かっていうと、哲学とか占いの領域がキャリアって結構、多いんですよ。たとえば自分とはなんぞやとか。パーパスみたいなことなんだけど、そんなことより、もっと我々はなぜ平均年収が高くならないのかに向き合わなきゃいけなくて、1社からもらえるお金っていうのは決まっているんだから、人口が不足するなかでマルチに稼ぐしかないでしょうっていう。稼いだら終わりみたいな雰囲気になっちゃっているのがよくないよね。今3社やっていて、年商だと合計でどれくらいいくの?
弦本:年商でいうとどれくらいですかね。
先生:合計、全部合わせると。
弦本:でもそんな、たぶん1億円はいかないと思います。
先生:そうなの?もっといっていそうだよね。
弦本:頑張ればいけるかもしれないですけどね。
先生:それでいいよね、時間をかけて頑張るっていうのを辞めたいもんね。
弦本:そうですね。そこまで稼ぐモチベーションがないんですよね。すでにもう十分っていったら変かもしれないですけど。
先生:そこが良さなんですよ。
日比:そうですね。弦本さんは運営があまり好きではなくて、立ち上げが好きな人なので、やったらもう任せたいっていうかたちで。
先生:アイディアマンですね。
弦本:そうですね。
先生:それは人のそれぞれの強みだからね。
弦本:そうですね。だからお金の匂いがするころには飽きはじめてしまっています(笑)
日比:そうですね。早いんですよ、飽きるの。
先生:刺激なんだよ。
先生:何万部を売りたいとかないんですか?10万部を狙うとか。
弦本:いやあ、この『超ど素人がはじめる不動産投資』が8,000部なんですよ。
先生:増刷?
弦本:3回ですね。
先生:おおすごい。やっぱりマーケットあるんですね、これ。すごい。
弦本:1万部いけばいいかなと思いますけど。
先生:謙虚なんだね。
日比:そうですね。
先生:意外とそうやって、あんまり欲はないんですね。あるけど隠しているとか?
弦本:届く人に届けばいいかなと思っています。
先生:ああ、なんかビジネスのシーンにいた方が全然、やりがいがあって楽しいから、大学の仕事をどうしようかと思っていたけど、やっぱりこうやってみんなにこれだけの距離感で会えるっていうのは結構ありえないんですよね。僕もだんだん年齢が上になってくると、中堅になってくると、この次世代とこういう距離感で会えるっていうのがものすごい実は貴重になってきていて。
弦本:僕もそう思います。僕も27歳のときにビルを買って、20代を応援する場所にしたんですけど、僕も今年で35歳なので、だんだん現場とは離れてくるんですよね。そうすると自分でも一通りやったから、それをもう1回その世代に戻ってやるかっていうとできなかったりして。彼らと同じ釜の飯食うっていうのがなかなか難しいから、年を重ねると世代との距離が出てしまうことを感じますね。
先生:だからいま意識しているのは、本当に現場でやっている人の話とかを、自分の経験も失敗も包み隠さずいってもらって、その気持ちを知りたいですよね。
弦本:生々しくということですよね。
先生:そう。ここの会社に入ったら手取りがいくらだよ、今のバイトよりも下がるよとか。そういうのをみんな、大学では学ばないから。
日比:お金の話は、あまりしないですか?
先生:しないです。
日比:実際の収入とか。
先生:してはいけないといわれるんですよ。はい、みんな見ていくよ。これがいま最新の出席簿っていうやつです。
弦本:すごい。
先生:いまね、リモートとハイブリッドになったから、みんなパソコンを持っていて、結構いい感じなんですよ。学習効果が高くなった気がする。
弦本:たしかに。
先生:サトウくんは自分の時間、副業の時間を取ることが可能な会社を調べる。いいね。
弦本:アクションになっていますね。
先生:そうそう。オッケーオッケー。ここ切り取って、あとでお送りします。
弦本:ありがとうございます。何か個別に質問とかがあれば答えます。
先生:質問とかももちろんいいよ。「YouTubeを観る時間を減らす」って本当そうだと思うんだよね。めちゃくちゃ観ちゃうじゃん。大学生だと1日平均で5時間も観るっていったかな。You Tubeを作る側だったらいいんだけどね、それは経験になるから。観て分析すればいいけど、ただ観て何もしないとやっぱ、消費だよね。キャリアを消費しちゃっているよね。
弦本:新しいことをはじめる前に、辞めることから考えるのもいいですね。
先生:「やりすぎないようにする」、ここも結構ポイントだね。多少なりともこのキャリア体験で色んな人を呼ぶから、みんな頑張ろうってなるわけよ。そうすると動き出すじゃん。それでも無理しない、辞めるというのも大事。取捨選択しないと。弦本さんは何か質問はありますか?みんなに聞いておきたいこととかありますか?今後、本を書くうえでとかで。
弦本:そうですね、キャリアのワークショップみたいのをやりたいなと思っていて、書籍では実際にワークを書けたらと思っているので、ワークショップとかでみなさんにも意見を聞けたら嬉しいなと思います。
先生:ワークショップを弦本さんがやってみたい?
弦本:はい。本にワークシートを作るので、それを色んな世代の人に受けてほしいと思っています。働いてる人たちに受けてもらう予定はあるんですけど、学生さんだとどういうふうに出るのかなっていうのを知りたいなと思ってます。
先生:あれやったら、キャリアストーリー。キャリアストーリーに呼んだら?62人でしょいま。
学生:ちょうど対面のイベントをやって、1年生も40人ぐらい来ていたんです。
弦本:ぜひぜひ。
先生:ちょっとそこつながっておいて。
学生:ゼロワンでも。
弦本:ぜひぜひ。
学生:なにかで連絡先を交換してほしいです。
先生:ぜひつながりを作りながら。
弦本:なにか話してほしかったら話しますし。
先生:募集しましょう。本のプロデュースも。
弦本:ありがとうございます。
先生:本はですね、もう出されてるから分かると思いますけど、Amazon Liveが始まったら毎日ツイートしまくるっていうのもいいですよ。それでもうこれでもかっていうぐらいナーチャリングしかけて、ランキングをあげていってという。
弦本:そうなんですね。
先生:そう。それで広告。じゃあこの辺で終わりましょうか。それで、個別で質問がある方がいれば個別で聞いてください。来週はみんなどうなんだっけ?この授業は?
学生:来週はゴールデンウィークだからないんじゃないですか?
先生:その先だね。じゃあちょっと空きますけどみなさん気を付けてね。じゃあ終わります。今日はどうもありがとうございました。
弦本:ありがとうございました。
一同:(拍手)
先生:すごいいいよ。弦本さんめちゃくちゃ面白い。
弦本:本当ですか(笑)
先生:一緒だな。人種が一緒だな。
ーーーー
田中先生は、大学教授でありながらも様々な事業や投資、出版などの活動などをされていて、大学教授にはいなさそうな方でした。なによりコミュニケーション能力が高く、キレッキレのビジネスパーソンといった感じの方でした。
これまで28冊の書籍を執筆しながら、セミナーやイベントなどでの登壇も多数されているそうです。空き時間には書籍の出版に向けてのアドバイスも頂戴しました。
実は、2年前にも登壇のお話をいただいていたのですが、その方もゼミ長として運営をして、その後に今回の授業にも参加していて、奇跡の再会となりました。
また、休み時間には学生さんのYoutubeにも出演させていただきました。
非常に楽しく、有意義な時間を過ごさせていただきました!また機会があれば、遊びに行きたいと思います。
ご参考までに、過去に千葉大学の教育学部にて同様の講義をした際の様子はこちらです。
また、慶應大学の経済学部で弦本ビルのコミュニティづくりについて講義をした際の様子はこちらです。