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アカウンティング(企業会計)とファイナンスについての勉強ノート

目次

アカウンティング(企業会計)とファイナンスについての勉強ノート

アカウンティングの目的

企業の事業活動は、会計というビジネスの世界共通の言語で客観的な指標として表されている。ある意味で会計は、英語よりも普及している共通言語といえる。

今回は、企業が価値を提供するために、どのような経営資源が必要なのかを客観的に見るために、アカウントの勉強をしたので、ノートを公開する。

アカウンティングで意識するポイント

  • まずは、全体像をつかむことを意識する
  • つぎに、昨年比や競合との比較をすることで、特徴をつかむ意識をする
  • 比較の際には、なぜ異なるのかの仮説を立てて、詳細の数字を見にいく
  • アカウンティングはあくまで客観的な数字なので、それをふまえて意思決定に役立てる

アカウンティングに用いる財務三表

企業の会計では、おもに損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、キャッシュフロー計算書(CF)の財務三表が用いられている。

損益計算書(PL)

会社の1年間の活動がわかるもの(どのぐらいの費用、売上、利益を得たか)
売上ーコスト=利益であらわされる

  • 営業利益…本業の利益
  • 経常利益…本業以外も含めた利益
  • 当期純利益…法人税などを差し引いたもの→利益余剰金(内部留保)としてBSに計上される

※費用収益対応の原則

  • 費用は発生主義…価値が消費されたとき
  • 収益は実現主義…収益が発生したとき(製造業であれば出荷や検収の際)

収益…売上高など
費用…経費など
利益…収益-費用
売上高…売上の合計
売上原価…仕入れの合計
売上総利益=売上高-売上原価(利益①)
販売管理費…営業の人件費、通信費、事務所の賃料
営業利益=売上総利益-販売管理費(利益②)
営業外収益…本業以外の収益
営業外費用…利息など
経常利益=営業外利益-営業外利益(利益③)
特別利益…一時的な利益
特別損失…一時的な損失
税引前当期純利益=経常利益-特別損益(利益④)
法人税、住民税及び事業税
当期純利益(利益⑤)
当期純利益を、株主配当と内部留保にまわす

貸借対照表(BS)

会社の資産の状況がわかる(資産や負債)
資産ー負債=純資産であらわされる

  • 資産=流動資産+固定資産
  • 負債=流動負債+固定負債

※流動は1年以内、固定は1年以上
 固定…建物、土地など
※減価償却をすると、固定資産を使用期間(耐用年数)で按分して、減価償却費として費用に計上すること(定額法と定率法がある)

資産の運用 | 資産の入手元

・負債の部

取引業者から掛けで仕入れる
銀行などの金融機関

・純資産の部

株主
会社の儲け

・流動資産(1年以内に現金にできる資産)
・固定資産(現金にするのに1年以内にできない資産)
 └有形資産(機械など)、無形資産(ブランドなど)

・減価償却…1年で回収できない投資に対して、代金はそのときに払ったものでも法定耐用年数で定められた割合で按分する

キャッシュフロー計算書(CF)

PLとBSでは、実際のキャッシュの流れとは時間差があるため、営業、投資、財務での、実際のキャッシュの動きを見た計算書を作成する

  • 営業活動によるキャッシュフロー…本業の営業活動
  • 投資活動によるキャッシュフロー…商品開発などの投資、投資をするとマイナスになる
  • 財務活動によるキャッシュフロー…調達

※キャッシュフロー計算書の作り方
間接法で、当期純利益から減価償却費、利息、買掛金や売掛金などを差し引きする
※運転資本(ワーキングキャピタル)=売上債権+棚卸資産-仕入債務

アカウンティングをもとにした経営分析

競合企業との比較をするとわかりやすい

収益性

利益が売上にしめる割合
売上高〇〇利益率=〇〇利益÷売上高

効率性

どれでだけ資金を回転させているか
〇〇回転期間[日]=資産÷売上高✕365日
キャッシュ・コンバージョン・サイクル=売上債権回転期間+棚卸し資産回転期間ー仕入債務回転期間

安全性

返済義務のない資金の割合とタイミング
自己資本比率=自己資本÷(負債+純資産)
インタレスト・カバレッジ・レシオ=(営業利益+受取利息)÷支払利息
流動比率=流動資産÷流動負債
固定比率=固定資産÷自己資本
固定長期適合率=固定資産÷(固定負債+自己資本)
手元流動性比率=(現金及び預金+短期所有の有価証券)÷売上高✕365日
 →手元流動性比率が高いとM&Aの標的にもなる
財務レバレッジ=総資産÷自己資本

成長性

〇〇成長率=(当年度〇〇ー前年度○○)÷前年度〇〇

総合力

ROA(総資産利益率)…経常利益÷総資産
 →経営者が社内での部門ごとに分けてみることが多い
ROE(自己資本利益率)…当期純利益÷自己資本=収益性✕効率性✕安全性
 →投資家が他社との比較で見ることが多い

財務諸表を読むステップ

ROE
 └ROA
 └総資産回転率
  └売上高〇〇比率
 └財務レバレッジ
  └流動比率
  └固定比率

一般的な解釈

キャッシュフローは、営業CFがプラス、投資CFがマイナスが通常。合計が2期以上連続でマイナスであれば要注意

事業の競争力は、売上高営業利益率=営業利益÷売上高で見る。10%を継続して超えると超優良企業といわれる。業界水準として同じ業種との比較、過去からの推移での比較をする。

財務体質(自分のお金がどのぐらいあるか)は、自己資本比率=純資産÷資産で見る。60%以上が優良、30%未満が注意といわれている。自己資本でなくてもすぐに売れるものであれば、負債を返済できるので問題ないことがある。中小企業は大企業よりも10%ほど下回ることが多い

債務超過は、資産よりも負債が多い場合に起こりやすい。利益を増やすか出資者を増やす必要がある

ファイナンス分析

・ファイナンスの種類
コーポレート・ファイナンス
インベストメント

・金銭の時間的価値
今日の1万円のほうが1年後の1万円よりも価値がある(利率、不確実性のリスク、物価上昇のリスク)
将来価値は、現在価値に利子率をかけて求める
現在価値=将来価値÷(1+割引率)^n年間
※割引率や期間によって、価値が変わる

・割引率の決まる要素
リスクが低い場合は現在価値が上がり、割引率が下がる
リスクプレミアム=割引率ーリスクフリーレート
リスクフリーレート(無リスク利子率)…日本の場合は日本国債10年が基準

・利益率と割引率
利益率…現在から将来を見たもの
割引率…将来から現在を見たもの

・NPV法(正味現在価値法)…事業から得られるキャッシュフローの総額から初期費用を引いたもの。プラスであれば投資を回収できる
キャッシュフローの総額の計算ではDCF法を用いる

・IRR法(内部収益率法)…1年間の投資の利回りのこと。投資と回収が等しい(NPV=0)になるときの割引率のこと
ハードルレート…最低限の利回りの基準値

・FCF(フリーキャッシュフロー)
企業が資金提供者に自由に分配できるキャッシュフロー。キャッシュフロー計算書のキャッシュフローとは異なる
FCF=営業利益✕(1ー税率)+減価償却費ー投資ーワーキングキャピタルの前期からの増加分

・WACC(加重平均資本コスト)…ハードルレートの算出根拠として使用されることが多い

(参考)
融資(有利子負債)…返済義務があるが利息は低い
株式…返済義務が無いが利息は高い

・将来キャッシュフローの予測期間
個別に決定する(市場環境、製品のライフサイクル、設備の寿命、経営方針など)

・残存価値…予測期間の後のキャッシュフロー
 └精算法…事業を生産する(すべて現金化したと仮定)
 └継続法…予測期間以降も事業を継続する、キャッシュフローの成長率を予測する

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ABOUT US
弦本 卓也
1987年、埼玉県生まれ。大学卒業後、大手広告会社「リクルート」にて不動産メディア「スーモ」(SUUMO)の運営に従事。新卒で入社して、スーモのメディアづくりを7年、その後にエンジニア組織の組織づくりを4年行う。 また、リクルート社内の部活動制度にて「大家部」を立ち上げ部長を務める。不動産投資に関する情報交換や物件見学のワークショップなどを行う。 入社2年目に新築一戸建ての広告を取り扱う部署に異動したことをきっかけに、「いい企画を作るためには、まずは自分で経験したい」という想いから個人で新築一戸建てを購入。その翌年には売却分野を担当したことをきっかけに売却も経験。マンションの売買なども行い、11年間で11回の引っ越しを経験。 「新しい住まいや暮らしを自ら探究したい」という気持ちで購入した東京都千代田区の神保町の中古ビル「弦本ビル」は、コワーキングスペース、シェアオフィス、シェアハウス、飲食店が入居する複合ビルとなっており、20代を中心とした若手社会人や学生のやりたいことを実現する場所として注目を集めている。3年間で延べ1万人以上の来場者を記録し、家賃年収1,400万円を達成しながら満室経営を続けている。 お金面とビジョン面の両立を大切にしており、モットーは「一人ひとりの可能性をもっと世の中に」。会社員を続ける傍ら、学生時代に起業した会社とあわせて株式会社を3社創業。うち1社は売却し現在は2社を経営している。他にもエンジェル投資家として若手実業家の支援を手がける一面も。 日経新聞や不動産業界紙、書籍や雑誌、テレビなどでも多数の注目を集めておりセミナー講師なども行う。宅地建物取引士を保有。