普段、お金について対面で学ぶ機会が少ないと思い、2020年1月18日にZUU社が主催するセミナーに参加してみました。
個人的な感想としては、プライベートバンクで営業をされ、その後独立をされた方々が「日本や世界の景気が悪化する」と口々に断言していたのが衝撃的でした。
今回は、セミナーのメモを共有させていただきます。
目次
日本と世界の経済の見通し
2020年は世界的に株価が2~3割ほど下がる可能性がある
- 各国で2019年夏から金融緩和をして株価が上がっているが、経済指標は頭打ちとなてしまっている
- リーマンショックから10年経ち、そろそろ景気後退(リセッション)の時期にきている
日本経済は危機に瀕している
①低成長
- 日本では、出生数100万人割れ(2016年以降)
- 平成元年と平成30年の世界の企業の時価総額の比較でも、日本企業は軒並みランキング外へ。新陳代謝もしていない
- 2029年にはGDPでも日本はインドに抜かれて4位になる(1位のアメリカと2位の中国とも大きく離される)
②財政不安
- 人生100年時代(少子高齢化)
- 国家予算は100兆円超え(2019年度以降)
③インフレ懸念
④低金利
⑤円安
- 円が安全な通貨という意識が薄れ、有事の際に円が買われなくなってきている
- 2020年1月のイランとアメリカの対立でも1ドル108円→107円と1円しか円高にならなかった
⑥増税
日本人は金融資産を海外に分散投資していくべき
日本人は資産のポジションを日本国内にとりすぎている
- 日本人は、金融資産、仕事、住居、教育と、すべてを日本に依存しているケースが多い
- 日本円をそのまま持っているということは、円高になると信じているポジションを持つことと同義である
- 日本のリスクが表面化すると、一気に資産が縮小する可能性がある
海外への分散投資が必要
金融資産は他の資産のなかで最も海外に移動をしやすいもの
海外での分散投資の方法
- 先進国では守り(資産の保全)
- 新興国では攻め(先進国の成功事例の再現)
海外投資でおすすめの資産運用方法
信用度AA以上、長期の「ドル建て社債」
- 外国株式は、世界的な金融危機に弱い
- 株価は業績に連動し、債券は倒産の確率に連動する
- 例えばソフトバンク社の株式は、2019年のWeWork問題で25%の評価減をしたが、社権は1~3%の下落にとどまった
- 不況時には社債が買われやすい
- 理由は、企業の倒産時の返済順位が、①普通社債、②劣後債、③優先出資証券、④普通株式となるため
- 同じ会社でも、それぞれリスク(格付け)とリターン(利回り)が異なる
- 利回りは2%台後半~3%前半が目安
買っていい債券
- ハイブリッド債権(劣後債)
- インデックスファンド(債券型)
買ってはいけない債券
- 日本国債→利回りが低い
- 仕組債、デジタルクーポン債→証券会社の利益が大きいため営業にノルマを課して販売している
- アクティブファンド→手数料が高い
- ジャンク債→リスクが高い
金への投資
- 金は供給総数がかぎられているため、不況時には債権以外に金も買われやすい
- 金の価格は上がっているが、リーマンショック後に米ドルはマネーサプライ(貨幣供給量)が4.5倍になっているため、対通貨で見ると割安
ヘッジファンドへの投資
ヘッジファンドのメリット
ヘッジファンドは戦略への投資をしている
不況時にも強い
ジョージ・ソロスのソロスファンドなどでは、IBリーグなどの一流大学を卒業しMBAをとったスーパーエリートが1日20時間ほど働いている
ヘッジファンドのデメリット
- 手数料が高い
- 解約がしづらい
- 気軽に出会えない
ヘッジファンド投資での、リスクとの向き合い方
- 利回り10%を超える成果を10年以上生み出しているヘッジファンドもあるが、その分リスクも高いため、資産の2割ほどをヘッジファンドに預けるのがよい
- リスクの高いものは、追加での投資はせずに、リターンで得られた金利分のみを再投資することが多い
その他の投資方法
新興国の有名なアーティストの絵画
- 新興国(ミャンマーなど)の有名なアーティストの絵画を購入して保有する
- 中国やタイなどでも、経済が発展すると自国民が有名なアーティストの絵を買い戻すため再現性がある
新興国の郊外の土地購入
- 不動産開発投資(ランドバンキング)とよばれている
- 人口が集中している都市では近郊に移住してもらう政策や再開発がすすむため、土地を購入して仕込んでおく
- 例えばフィリピンの郊外で計画されているニュークラークシティ計画では、2019年から日本企業の参入が多数決まってきている
- ただし、マレーシアのジョホールバルの開発停止など、政権交代によるリスクもある
資産運用のアドバイザーとの付き合い方
富裕層はプライベートバンクから資産運用の方法を教えてもらうことができる
プライベートバンクの手数料の相場
- 毎年の総資産の2~3%
- 税理士などは、月額で長い期間で付き合う(本やニュースからの情報でも、自分に適用できるかを判断するため)
プライベートバンクのアドバイザー選びのコツ
- 会社に売らされていないか(仕組債、など)
- アドバイザー本人も買っているか
- 手数料が高すぎないか(10年単位で見て20%など払いすぎにならないか)
海外のプライベートバンクで人気の資産運用
- 日本ではできないが、海外のプライベートバンクではできることがある
- 証券を担保にしたローンを活用して、3階建て(元手の3倍)のレバレッジをかける
- 年間に3%の利回りの投資をおこなう(元手の資金から見ると9%の利回りになる)
- ローンに対して2%の金利を支払う
- 差分の7%が利益となる
海外に資産を持ち出すときの注意点
国税の税制変更に対する注意
- 過去に武富士の創業者が贈与税と相続税を逃れる方法(通称「外外スキーム」)で2,000億円をキャピタルフライト(国外へ持ち出し)
- 国税は追求したが敗訴し、対策を強化してきた
- 国税は税務当局が把握できる情報をもとに税制変更をしてくる
- 例えば、国外財産調書(時価評価して出さなければならないもの)、証券調書(海外に行く際に申告するもの)など
- 富裕層に対する税制改正は不意打ちの施策が多いので注意
- あらかじめ方向性に見解を持っておき、リテラシーを身につけておく
- 日本が他国と租税条約を結ぶのは二重課税を防ぐことが目的に見えるが、2国間での情報交換がされるようになるため、これまで把握されていなかった資産が明らかになってしまう
- 国外出国時課税(出国税)は、1億円以上の有価証券を保有している場合、親族にお金を持たせて国外に持ち出す場合にかかる
- 親子で海外に移住して10年以上住むことで、不動産の相続税がかからなくなるという方法もある
- 令和2年度の税制改正で引き締めでは、これまで海外の不動産投資でできていた、土地建物の比率の違いと減価償却の期間の違いを利用した節税ができなくなった
相続時のプロベイトへの注意
- 一度その国の裁判所が資産を預かる決まりになっている(プロベイトが適用されている国)
- 英語でのやりとりと、時間と弁護士コストがかかってしまう
お金に関する参考書籍
ZUU社の冨田 和成さんの書籍は、以下の読書ノートもご参考ください。
また、お金に関する書籍は以下にもまとめています。あわせて参考になさってください。